児童劇と富士山と青春!(その20)


~雑色駅前将棋サロンホーム~

ー皆の気持ち、そして想い。ー

長岡はアパートに帰り、直ぐ蒲団に潜り込んだ。自分の弱さ、根気の無さ、そして皆の叶えようとしている夢を潰そうとした心。悔しくて悔しくてどうしようもなかった。
今まで一人でのほほんと生きてきた自分が、何も責任感のない自分が、恥ずかしくて恥ずかしくて堪らなかった。いったい三十年何を考えて生きてきたのか、貧乏と苦労の毎日だったのに何にも経験が生きていない。ただその時苦しんでいるだけで、何も成長していない。そこらにいる犬猫と同じだ。
一人、大粒の涙をぼろぼろ流し、泣いても泣いても涙が止まらず、そしていつしか寝てしまった。
次の日の朝、大分体調が良いので、新たな気持ちで甲府市へと向かった。富士市の二回目の営業と同じく、まず市役所に行く。それから音協という独自の業者に挨拶し招待券を置いた。また、西武セゾンの置き券とポスターをいくつかの商店に張ってもらい、一日が終わった。
国分寺の芸術劇場では、津田が皆に向かって演出家を紹介した。
「長岡さんからの希望で、芸術劇場から演出家を出してほしいと言われましたので、村上を紹介します」
村上は演出部の若手で、主に新劇の堅い作品を勉強している人物である。演出家のいない劇団やまびこには、必要な人材だった。それは、ここにいる山野以下全員納得済みである。
これからはダンス+芝居の稽古になり、今まで以上にきつくなる。ダンスでは、仲田が経験無いだけに不安定だ。その上に芝居の稽古が重なると、どうしても彼女だけが取り残される。演出の村上からいつも、「そんなことも出来ないのか、辞めてしまえ!」とか「馬鹿野郎、お前のような奴はもう要らない」とか「死んじまえー、帰れ!帰れ!」など、いろいろな罵声が飛ぶ。
仲田は耐えながらも、稽古時間以外一人で練習していた。
この日も大分疲れが溜まっているのか、皆の動きも悪い。村上の罵り方も酷く、誰と言うことなく口喧嘩することさえあった。そして夕方になると、日吉の倉庫作業に行かなくてはならない。
大道具の作業に浦部と山本、衣装の直しに木村と仲田が来ていた。
木村は、細かい縫い直しをしながら、
「美恵さんいないと大変ね、進まなくて。とりあえず言われた物を直すだけ」
とため息交じりに声をかけた。仲田は、衣装の仕立てをしながら、
「今日は美恵さん、なぜ日吉に来ないの?」と尋ねた。
「知らないわ。浦ちゃんに聞いてみなよ」
と木村が答えると、仲田は不貞腐れて、
「慶子さんは、週二回しか来ないし、美恵さんも時々休む。あたしと美月さんだけね、休まず毎日来ているのは」
「仕方ないわよ。私たちは、素人で新人だもの」
二人は作業に大分慣れたらしく、衣装を直しながら雑談している。
山本は浦部に、中二階奥でお面を作りながら、演出家と皆の間が上手くいっていないことを話すと、浦部はお面にスプレー絵具で、丁寧な手つきで色づけ作業を進めながら、
「う~ん、皆疲れているからね。しかし演出家の言うことは聞かなくてはダメだよ。演出家には演出家の意図があるものだ。・・・・山野さんや島田は、なんて言ってるの?」
山本は、顔の出来上がっているお面に髪の毛を縫い込んだり、絵具の垂れた雫を削り取りながら、
「ええ、島田さんは、少し難しい事を言い過ぎると言っていました。それで分からなければ、直ぐに怒鳴るからいけないと言っています。山野さんは、ぬいぐるみ劇にあんな演出はないと怒っています」
「難しい演出かあ。村上さんは、少しぬいぐるみ劇を勘違いしているのかなあ」
「僕はそうだと思います。第一、島田さんが分からないと言っている演出を、百花ちゃんが分かる訳ないと思うし。・・・・いつも百花ちゃんばかり、怒られています」
浦部は、思わず作業の手を休め、
「百花ちゃんも、とんだ災難だなハハハハ」
と軽い気持ちで笑い出すと、山本は真剣に、
「笑いごとじゃないです。可哀そうになるぐらい怒られていますよ。でも百花ちゃん強いから。普通の女の子じゃもたないと思います」
浦部は、また笑い出し、
「百花ちゃんは普通じゃないから、劇団やまびこにいるみたいなものだねハハハハ」
山本は尚も深刻に、
「山野さんが、このままだと本当に本番まで、皆の我慢が続かないかも知れない、と言っていますが・・・・」
「それは本当に深刻な問題かも知れないが、そういう障害を乗り越えてこそ、皆の団結力が増すというものだよ。だから自然のままに、流れのままに任せるのが一番さ」
「そういうものですかね」
山本はため息一つついて、直している人形の頭を逆さにし、バレーボールみたいにポンポンと上げた。
「もし障害が高すぎて、越えられなかったらどうします」
「その時はその時さ、自然自然、普通が大事・・・・。ほら、手が止まっているぞ。仕事仕事」
と言い、落ち込んでいる山本の肩を叩いて、
「大丈夫だよ。そんなに簡単に挫けないよ。人間は強いから進化するんだよ」
と励ました。

続く。


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~今日の一言~

障害とは何だろう?
好きなことなら、どんなに障害が高くても苦にならないこともある。
嫌いなことは、障害でない(めんどくさい)ことでも避けて通りそうだ。
それで、結果損することもある。

児童劇と富士山と青春!(その19)


~雑色駅前将棋サロンホーム~

ー探し物とは、夢話ですか?ー その4

二月も中旬なると、芸術劇場二階稽古場では、山野のダンスレッスンにも厳しさが出てくる。
一つのプロの舞台を作るのは難しく、毎日昼から夕方まで、基本中心に踊りのレッスンが続く。山本も音響としてレッスンに夕方まで付き合い、それから日吉の倉庫で作業を十一時頃まで続ける。浦部は、倉庫で寝泊まりして一日中作業である。こんな生活がひと月も続くと、さすがにだらけてくるが、そこを何とか山野や浦部がリードして、三月十九日の県民文化に間に合わせようと努力していた。
長岡はだいぶ熱も下がり、蒲団の中で、虚無な気持ちを消すことが出来なかった。
富士市と甲府市の興行は失敗に終わる。単純計算で、公演費から芸術劇場の経費まで、三月末までに二百万は下らない。今二日間の公演を中止すれば、半分の百万くらいの出費で済むが、・・・・二日間の公演は、皆の為にも絶対にキャンセル出来ない。出来ることは、公演後に休団すること。そして借金を少しづつ返していけば良い。そんな内容の相談をしようと、津田さんに会いに芸術劇場に行った。
まだ朝の十時前だが、二階の稽古場を横切る時、懐かしい旧白雪姫のテーマソングが流れているので、思わずドアを開けて稽古場を覗くと、山本と目が合ってしまった。山本は、
「久しぶりです。長岡さん・・・・。今、古いテープの編集作業をしています。これをまたMDに録音しますが、なにせひどいテープで、なかなか上手く行かなくて困っています」と苦笑いを浮かべながら明るく言った。山本以外に芸術劇場の研究生が四人いて、レッスン前の準備で体を動かしている。
長岡は入り口で、研究生の稽古姿をジーッと見つめていた。山本は気を遣い、
「あ!十一時までには皆来ますよ。昨日は日吉の作業が終わらなくて、皆日吉に泊まったんです」
「え!?いや・・・・皆?山野さんも」
「ええ、どうしても作業が進まなくて、後ひと月ですから」
長岡はびっくりして、まともに山本の顔を見ることが出来なかった。やや斜めを向きながら、力ない声で、
「俺、津田さんに話があるから四階に行って来るよ。また来るから」
と言って急いで稽古場から出て行った。階段を上りながら、とても居た堪れない、泣きたい気持ちになるが、でも劇団は持続出来ない。三月いっぱいだ。と心に決めて四階の事務所に入った。
「やあ久しぶり。どお調子は、顔色悪いわね。風邪でも引いたの?」
と、立て続けに明るい声で言う。・・・・余計、休団の話は切り出せなく辛い。長岡は青い顔の上に苦笑を浮かべ、口ごもりながらも、
「み、皆、頑張っているみたいですね」
「そうよ。やはり舞台に立てると思うと、たとえぬいぐるみ劇でも一生懸命よ。浦部君や山本君も大変よ。皆自分の時間も無いし、あまり寝ていないみたいよ。でも、何も無いところから・・・・。後ひと月でしょう」
長岡は震えて、目に溜まる涙を見せまいとした。そしてわざと窓際に行き、外を眺める振りをして、
「そうですか・・・・」と寂しそうに言った。
今は相談出来る状況ではないと思い、頭を下げて事務所から出て行こうとした時、
「長岡さん!ちょっと待って」
と言った。振り返ると、津田さんは机の中から小さな赤い包みを出して、
「プレゼントよ」と言って、手渡した。
長岡は下を向き、赤い包みを手にして涙声を隠した。絶対に泣き顔は見せられない。
「ハハハハそういえば、今日は・・・・。義理チョコですかハハハハ」
「そうよ。義理チョコよ、食べてね。甲府市の営業頑張ってよ。もう半月以上過ぎたから、大分動員出来たでしょう」
と言って、肩をポンと叩いた。長岡は下を向きながらも、
「ええ、何とか」
と小さな声で答え、静かに振り返り事務所から出て行った。
津田は、出て行ったドアの残像を見つめ、
「営業、上手くいっていないのかしら・・・・」
と独り言を言い、また何か対策を考えて置かないといけないのかしら、と思う。
長岡はこぼれる涙を拭きながら、急いで階段を下りて行き、津田さんに休団の話を切り出せなかったことを悔やんだ。そして外の公衆電話から、日吉の倉庫にいる浦部に電話した。
「おう、長岡か!助けてくれ、ゴミ山に埋もれそうだ。調子はどうだ。甲府市の県民文化も決まったんだってな。頑張っているな~、お前ひとりで、孤独との戦いもあるしなあ」
「俺、風邪引いて熱があるんだ。頭、重くて、凄く弱気になっているんだが・・・・。舞台道具は大丈夫か?県民文化の三月十九日に間に合うのか?」
長岡は心の片隅で出来なければ良いと思うが、浦部は元気な声で、
「今の調子で、今の調子でだ。一日五時間の睡眠さえ守れば大丈夫だよ。だからお前も絶対成功させろよ」と言った。
長岡は、どうすればいいのか分からないまま二階の稽古場に戻ると、山野たちが倉庫から戻っていた。そして長岡と目が合うと、
「ハイ、プレゼントよ。これは四人からのプレゼントよ」
と言ってチョコをくれた。
「ありがとう。大事にしまっておくよ」
と軽い冗談を言うのが精いっぱいだった。

続く。


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~今日の一言~

昨日は社団戦でした。なのに私は、全然違う世界を書いています。

児童劇と富士山と青春!(その18)


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ー探し物とは、夢話ですか?ー その3

「どうしたの?どうして黙っているの。そんな弱気じゃ何も出来ないわよ」
長岡は、このままでは埒があかないと思い、とりあえず答えを出した。
「分かりました。なんとか頑張ってみます」
「そうよ。その気持ちがないとね。じゃ電話切るわよ、いいわね」
「ハイ。ありがとうございました」
長岡は電話を置いて、全面薄く黒いガラス張りの広いロビーのソファに座り込み、ため息を一つついた。
芸術劇場のデータを信じすぎていた。津田さんが、直ぐに動員できる会場を教えてくれると思っていた。あまかった。夢の中から一気に現実へと引き戻された。寒い朝、早起きしても布団から出られないのと同じ状態である。天気が良いのがせめてもの救いだ。一日ここでボケーッとしているわけにはいかない。重い体を起こして、とにかく動かなければ、考えなければいけない。県民文化ホールはキャパ二千五百席もある大ホールだ。仮に一人千五百円として、二千人入れば三百万。何とかなる数字だ。頑張っている皆にも、ギャラを少しずつ払うことだって出来る。
長岡は、ソファから立ち上がり出口に向かった。外に出ると、身体が縮みあがるほど寒く、急ぎ足で車に乗り込んだ。空元気でも良い。仕事仕事仕事と気合いを入れて、地図を広げた。
どこの幼稚園に行くか?昔、甲府市での営業を思い出しながら考える。ここは一園単位ではない。いくつもの園からなる系列園が多くあり、一人の園長が二つ三つ兼ねて経営している。ひとグループ引率出来れば、千人くらいの園児を動員することも可能である。しかしダメなら、それだけ可能性も大きく減ることになる。長岡は木馬座時代にお世話になっている、山元幼稚園に行くことにした。園長は他にも水元、川元、三つの幼稚園の理事長で、園児も千人近くいる。引率の実績はないが、行くしかない。
目標の半分のお客を逃すわけにはいかない。
山元幼稚園は、事務所が園舎とは独立した棟にあり、事務所も鉄筋のしっかりした建物で、入り口は中の見えるガラス張りの小さな引き戸になっている。ノックして中に入ると、小さなカウンターが入り口と並行してある。十人ほど座れるデスクが向かい合わせに並べてあり、正面の窓から園庭が見渡せる。
一番奥に理事長の姿があった。昔と変わらず細身の白髪で、銀縁眼鏡にネクタイ姿。あれ?昔は黒い縁だったかな。他には誰もいない。なんだか、富士市の白菊幼稚園と同じ雰囲気を感じるが、同じようにダメでは絶対に困る。
カウンターの前に立った。
「すいません。劇団やまびこと言います」
理事長はフッと顔を上げるが、劇団関係者だと知ると、素っ気ない態度で対応した。
「あ、劇団ね。そういえば一月の中ほどに飛行船配ったばかりだから、今回は諦めてくれ」
と言って、下を向いて仕事を続けた。長岡は一瞬ドキッとして冷や汗を流すが、気持ちを切り替えて続けた。
「今回はチラシの配布ではなくて、卒園公演として、引率のお願いに上がったのですが」
長岡はキッパリと言うと、理事長は顔を上げて不思議そうな表情をした。理事長の視線を感じ少し自信を無くすが、続けなければならない。
「どうしても素晴らしい劇を、こちらのグループの幼稚園の皆さんに、格安のお値段で公演出来ればと思いまして・・・・」
案の定、理事長はムッとして腕組みをした。
「引率?いまさら何言っているんだね。こんな忙しい時に、それに名前も聞いたことない劇団に、引率なんて出来るわけないだろう」
「私、以前木馬座にいまして、理事長には大変お世話になっています。今回だけは特にお願いしたいと思いまして・・・・」
まるで天にも祈る想いで言うが、理事長は、
「引率はそんなに簡単なことではないのだよ。また、来年の話ならともかく」
と言って、下を向きまた仕事を始めた。沈黙の続く中、重い空気が流れ、長岡はしばらく下を向いたまま動けなかったが、何かを思い立ったように頭を下げて事務所から出て行った。
山元グループはダメだった。だが諦めきれず、惰性でもう二、三の幼稚園を回ってみたものの結果は同じだった。
甲府市では、一月中に飛行船がひと通りすべての幼稚園を回っていた。富士市の時とまったく同じ状況になった。
午後になり、営業を幼稚園から保育園に切り替えた。
保育園は幼稚園よりも忙しい割には劇団には協力的だが、土曜日の午後公演では、なかなか日程も合わない。午後は保育園を十園回り、一園だけ飛行船の三月十四日が都合悪く、仕方なく劇団やまびこに決めてくれた。一人八百円で七十人の保育園だった。
初日で、やる気もすっかり伏せてしまった。夜の六時を過ぎると大衆酒場に行き、十時頃まで一人で飲んで、明日があるさ明日があるさ、明日こそ運が向いて来ると思い、ビジネスホテルで一夜を過ごした。
次の日は、昨日飲み過ぎて仕事にならず、午後二時頃まで車の中で寝ていた。それから近くの児童公園でボ~ッと過ごし、六時頃になるとまた大衆酒場で飲んで、一日が終わる。
その次の日は朝から映画館に入り浸りで、夜になるとまた同じ酒場で飲んで、一日が終わる。寝る前には必ず、明日は仕事すると思いながらも、次の日になるとやる気が起こらず、四日目になっても同じような一日になってしまう。
その後数日かけて残りの幼稚園を回ったが、結果は出せなかった。やる気が無くなると体調も悪くなる。疲れからか風邪を引いたみたいだ。少し熱もありそうなので、国分寺のアパートに帰ることにした。
国分寺に帰ったのは十二時頃だった。それから三日間は動けず、蒲団から出ることが出来なかった。

続く。


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~今日の一言~

長岡君の営業は、確かに「負けである」しかし、そこから逃げることは、永遠の負けを意味するところだ。
さあ、どうすれば良い!

児童劇と富士山と青春!(その17)


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ー探し物とは、夢話ですか?ー その2

そう、富士山である。国道沿いにあるパーキングに車を止めた。
「あの額縁と同じだ」
この場所から見える富士山は、角度がやや斜めだが不良じみた迫力がある。欠けることなく山全体姿を現し、雪の掛かる上の方が、夕日を浴びて銀色に輝いている。透き通った空気が、富士山をより鮮明に浮き上がらせて見えるが、今、この時期、この時間、この瞬間しか見ることの出来ない状景だった。だからこそ写真ではない、実物の銀色に輝く富士山には価値がある。
十五分も経つと、銀色が白い雪に変わり輝きも失う。・・・・その内に暗くなって行った。
また長い山路を走り、甲府市に着いたのは七時を回っていた。
次の日の朝、新たな気持ちで県民文化ホールに予約しに行った。
道路脇に車を止めて、大きなホールの建物を見上げた。薄いオレンジ色の建物から朝日が斜めに差し込み、建物の影で大きく日陰が出来、日向との色合いの違いがハッキリ出ている。黒く大きいガラス張りのウインドを横目に見ながら、低い石段を上って、正面入り口から中に入った。中央がスロープになりその左手が大ホール、右手前にロビーがある。奥に行くと事務所がある。入ると直ぐにカウンターで、女性職員が仕事している。その人にキャンセルされた三月十九日の午前午後を予約して、会場費を払った。
ここ、甲府市で富士市と同じ結果になったら・・・・。そんなことは考えるだけでも許されない。甲府市では、春休みにぬいぐるみ劇をする劇団は希である。それは昔もそうだったし、今でも津田さんは大丈夫だと言ってくれた。甲府市で主に使われている会場も県民文化ホールだけである。自信を持って、女性職員に最近数カ月間の予定を聞いてみた。一月の頭に正月公演で、河童座と影法師(影絵)が公演している。昨年暮れには銀河鉄道と東京児童、二月は何もない。そして三月。事務の女性は、予定表を見えるように回してくれた。
「三月十三日(日)と十四日(月)に飛行船が入っています」
「え!?」
と驚いて、長岡は予定表をカウンター越しにのぞき込むと、確かに三月の予定表に飛行船の名前が書いてあった。
一瞬目眩がして、
「昨日、劇団やまびこの津田から、日程の事で電話があったと思いますが?」
「え、ええ、ありました。しかし、ぬいぐるみ劇の話はしませんでした。日程の話で、三月二十日前後に空き日があるのかと聞かれましたので・・・・。まさか、劇団やまびこさんがぬいぐるみ劇だったとは知りませんでした」
長岡は困った顔して、頭の後を掻き、
「今予約して直ぐにキャンセルしたら、やはりキャンセル料取られますよね?」
「はあ・・・・」
「いや、違います。ちょっと時間を下さい。今、電話して来ます」
急いで下のロビーにある公衆電話で、津田さんに連絡した。
「もしもし長岡です!」
焦っているのか、電話に出た津田も心配気味に対応した。
「どうしたの?大丈夫。上手く会場押さえられた?」
「・・・・・」
何も答えられないでいると、津田は少しムッとした声になり、
「どうしたの?何かあったのね」
「会場は、会場は取りましたけど・・・・。飛行船が」
「飛行船?入っていたのね、この時期に。今までは無かったことだけど・・・・」
長岡は、唾を飲み込み言葉を足した。
「また日が悪くて。一週間前の三月十三日と十四日、日曜と月曜」
津田は冷静に、
「手打ちと引率ね。引率はこの時期によくある卒園公演だわ。・・・・一週間前ね、ちょっときついわね。私もつい考えなしに、甲府市だと言って悪かったわ。どうしようかしら?」
「う~ん、キャンセルして別の会場にした方がいいのかな?」
「いいのかなって、何よ。あなたの問題でしょう!弱気にならないで。もう、東海方面でキャンセル待ちで取れる会場なんて無いのよ。それに今、甲府市を押さえれば飛行船だって気が付かない。引率園はともかく、手打ちの園はまだ営業していないと思うし。飛行船だって、この時期の卒園公演は甲府市では初めてなのだから、条件は五分と五分よ」
「五分と五分?・・・・う~ん、本当かなあ」
「キャンセルする?」
「弱気になってないです。ただ・・・・」
「ただ何よ!他に手が無いのよ。大都市はもう遅いし、小さい都市は薦められない。営業する時間はあるのだから、甲府市で頑張りなさい」
長岡は、言葉にならず、「う~ん・・・・う~ん・・・・」と繰り返すばかりだった。

続く。


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長岡君は、本当に煮え切らないダメな奴だ!

児童劇と富士山と青春!(その16)


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ー探し物とは、夢話ですか?ー

次の日、長岡は浦部の車で富士市に向かった。車の荷台には、私物と昨日日吉の倉庫で乗せた旧白雪のポスター他、営業に必要な物が備えてある。
長岡は、もうダメだったら帰らないつもりだった。とにかく富士市の興行に集中する。一人でも多くのお客を入れること、後のことは後で考えればそれで良い。
そんな気持である。
東名高速を走りながら、浦部の言ったことや津田さんの助言。劇団やまびこの面々や芸術劇場の人たちと、苦しい時を乗り越えて、皆と笑って会えることが出来れば幸せである。
もう誰一人と会うことが出来ない、なんてことが無いように・・・・。
富士市内にはいくつかのプレイガイドがある。まずロゼシアターの中に一つ、楽器店で扱っているところが一つ、またデパートの中に一つと、全て置き券である。座席番号はその場でナンバリングする。公演日が休日だと、一つのプレイガイドで五万円ほどの売上げは見込める。三カ所にポスターとチケットを置いて回る。次に市役所に行き、教育員会と児童福祉課に招待券を20枚ほど置いて、少しでも印象を良くする。市内に二つある商店街(富士銀座と吉原本町)でも、お店一件一件回り、招待券二枚づつ置いて一枚ポスターを貼って貰う。運動具店にパン屋さん、または玩具店に本屋さんと五件に四件は貼って貰える。次は女性向けというよりも、お母さん向けの日曜新聞でリビング社があり、新聞広告を五万円位で掲載出来る。
一般的な幼稚園や保育園のチラシ配布が無くても、十万円位の出費で、三十万~四十万程度の売上げは見込めるかな~と思ったりもする。
とりあえず、今出来る営業はこのくらいだ。ひとまずホッとして、富士市内を気晴らしに観て回る。
富士市は川崎や四日市と並び、公害で有名な工業地帯でもある。それは昔の話だが、今でも労働の街並みはここのイメージに見える。
工業街を抜けて海の方へ行くと、ますます産業地帯の色合いが強い、その中を突き抜けて行く。私有地の中のように道でない道を行くと、小さな漁港に出る。また、造船所も出て来る。と思ったらヨットハーバーもある。堤防の前まで来ると、車を止めた。
この向こうは海だ。ここでの眺めはどんな感じだろうか?見るまでは分からない。海なんてどこでも同じだろうが、この富士市の、都市のほんの一歩向こうにある海なんて、見るまで想像できない。梯子階段に手を掛けて一段一段上がって行くと、水平線が見えた。青い空と広い海、穏やかに、さざ波が流れている。広い、ほんとうに広い。
堤防の上に座り、深呼吸をひと息して転がり横になる。青い空の中をヒコーキ雲が流れ、眼を瞑ると、左の方から聞こえる海の音色と潮の香、ただの海なのだ。
長岡自身、今まで日本全国いろいろな都市に行き、数多くの海を見ている。富士の海も勿論同じ海だ。北海道の海、九州の海、四国の海、この富士の海も同じ青さと同じ広がりを見せている。全ての海が自分の為にあるような気さえしてくる、壮大な自己満足だ。
どこまでも広がる海、爽やかな潮の香り。季節柄、身体が縮こまる寒さも感じる。透き通るような空気を吸うと、心の中が穏やかになる。なんだか演劇なんて、興行なんて、富士市民なんてどうでもいいような気さえしてきた。たいしたことではない。何のために、誰のために、富士市で苦労しなければならない?体の中からスーッと力が抜けて、気持ちが緩みうとうとと寝てしまった。
夢の中で森本千鶴!?そう、ちいちゃんが出てきた。暗い公園の中でブランコに乗り、「富士文化で公演するのは勿論私のためよ、私たちのために白雪姫見せて欲しいの、劇団やまびこの白雪姫、見せて欲しいの」と語りかけてきた。
長岡はハッと気が付き、今は堤防の上だ。
「そうだ!津田さんに電話しないと」
急いで車に戻り、堤防沿いを走って電話ボックスを探した。
「はい。芸術劇場いや、劇団やまびこです」
「あれ?もしもし長岡です。津田さんですね?」
「ええ、富士市は大丈夫?」
「まあまあです。ダメ元ですので、とにかくやるだけのことはと思いまして・・・・。ところで」
「会場でしょう。取れたわ」
「え!どこ、どこでしょうか?」
「三月十九日の山梨県立県民文化ホール。ここは四月になるとピッカリ座、東京児童、河童座といろいろ来るけれど、春休み前の土曜日なら、努力次第で何とかなると思うけど、どうかしら?」
「甲府の県民文化ホールですね。僕も何回か営業していますので分かります」
と少し興奮気味に答えた。
「土曜日なので、大ホール二時からの一回公演で予約したわ。キャンセル後なので直ぐに行くといいわ」
長岡は引き締まるような気持、新たな決意が出てきた。
「分かりました。今日中に甲府市に行きまして、明日朝一番で会館に行きます」
と言って電話を切り、直ぐに車に乗り走り出した。
甲府市に行くには富士宮パイパスで行くのが早く、寂れた有料道路を真っ直ぐに上って行った。
四時を少し回り、森林の山路から見える空も、青空色から段々と陽が落ちて行くのが分かる。すると突然視界が広がり、空の中に白い銀色の山が見えた。
「あれ!?そうか、ここがそうなんだ」

続く。


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~今日の一言~

人の価値って何だろう?
勿論、他人が決めることではないように思う。そう、他人の評価は無視して良い。

児童劇と富士山と青春!(その15)


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ー苦しいときこそ、明るく元気にー その6

芸術劇場に戻り時計を見ると、まだ六時前だ。津田さんはいると思うし、話す時間もある。四階の事務所まで勢い込んで駆け上がり部屋に入ると、津田さん一人いた。
「明日また、富士市に行きます。何か、何か、何でもいいから教えて下さい。昨日も行って来たのですが、上手く行かなくて・・・・」
と少し上ずった声で必死に懇願した。
津田はムッとして、表情を変えた。デスクの書類を整理しながら、意識的に視線をそらし、
「それは、あなた自身で考えることでしょう。私の口から営業的な話は出来ないわ。ただ、言えることは、現実問題として富士市の人口で、飛行船とバッティングしたら興行するのは無理よ・・・・。あなた前に、現実の世界とは別に、何か不可能を可能にする力があるようなことを言ったわね。それを見せてもらいたいわ」
と忙しそうに、仕事しながら言った。
長岡はドアの前で棒立ちになり、顔を赤くした。下を向いたまま恥ずかしくて動けなかった。くだらないとかつまらないじゃない。今、今は富士市の興行が成功しなければ、それだけだった。
恥も外見も無かった・・・・。しばらく沈黙が続いた。
津田は、ほっといた方が良いと思うものの、長岡の姿に哀れさも感じる。否定的な言葉は避けて、
「富士市は富士市として、一人のお客の前でも全力で公演することだと思います」
とキッパリと言った。
長岡は愕然として、津田の怒っている目に、何も具体的なことは教えてもらえないと思った。
「お客が一人でも入ったならば、中止するなと?それは分かります。でも・・・・」
「そうです。営業の成功とか失敗ではなくて、公演として成功すれば、それで良しとする。結果、お客が一人であっても成功だと思いなさい」
長岡は、改めてお金の現実味を感じる。
「それでは大変な借金も、できるのでは?」
津田は窓際に行き、夜の街並みを眺めて、
「私にも答えは分かりません。・・・・公演とは別に営業的なことを考えるならば、富士市を諦めることが懸命だと思うわ。公演を諦めるのではなく、営業を諦めましょう。と言う、話です」
「・・・・?」
「他の会場を探しましょう」
「他の会場?」
津田は向き返り、長岡を見た。
「だから他の会場を、成功しそうな会場を、富士市とつなげてみるのよ。富士市のマイナスを補える会場を探すのよ。私にはそれしか考えられないわ」
「なるほど!?そうですか、富士市はとにかく公演して、他の会場で収支のバランスを取る」
長岡は理解するものの、やはり現実問題は、
「こんな時間の無い時期に、二会場分の収入?そんな会場なんてあるのでしょうか?それに富士市に近くないと、移動の問題もありますし・・・・」
長岡の煮え切らない態度に津田は、
「それをやらなくては、劇団自体諦めなくてはならないのよ!あなた自分の立場も考えなさい!」と強く怒った。
津田は業務用の棚を眺め、ファイルを一冊取り出した。
「今、会場を取るとすればキャンセル待ちしかないけど、それに引率の出来る大都市でなければいけないだろうなあ」
津田は独り言のように言う。別のファイルを取り出して、
「富士市の場合は幼稚園は全てひと園単位だし、皆飛行船に持って行かれてしまうわ。手打ちが出来ればいいけれど・・・・。そうね東海では、豊橋、浜松、静岡、沼津、小田原ぐらいかな、名古屋は遠いし、菊川、島田、掛川、清水、御殿場は小さすぎて無理よね。あと三月二十日につなげられることも条件よね」
長岡は黙って聞いているしかなかった。ただ、自分の無力さ、無鉄砲さに情けなくなるだけだった。
津田はファイルをパタンと閉じて、少し上を向いて考え込む。
「明日富士市に行ったら、夕方にでも電話下さい。会場だけは何とかしておくから・・・・」と言った。
長岡は頷いて、事務所から出て行った。
国分寺のアパートに行くまでの道のりの長いこと、あまりにも情けない自分に嫌気するだけだった。

続く。


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~今日の一言~

明日から八月も後半戦に入ります。
元気良くと思いますが、このような天気は何年ぶりでしょう。

児童劇と富士山と青春!(その14)


~雑色駅前将棋サロンホーム~

ー苦しいときこそ、明るく元気にー その5

「うん。さっきも言ったが、稽古が終われば日吉に来るだろう。今日で三日目だ。山本は五時から十時ごろまで倉庫にいる。僕はずっと泊まりだがね。これからも倉庫と稽古場の往復の毎日さ。女の子たちも、衣装作りや人形の直しをしてくれている。島田、木村、仲田と彼女たちも劇団員の自覚がある。やはり稽古上がりの五時から十時ごろまで一生懸命やっている」
と浦部が言うと、長岡は軽く微笑みながら聞いた。
「彼女たちに、衣装作る技術あるのか?」
「うん。島田が知っているし、木村もそこそこだ。分からないことは、稽古場で山野さんに相談している。島田は劇団S時代にいろいろと経験あるようだ」
「そうか、島田は劇団Sにいたんだものなあ~、本当に俺たちの仲間なのが信じられないよ」
しばらく沈黙が続き、長岡が独り言のように、
「みんな頑張っているんだなあ~。富士の公演のために、俺は一人で何をしているんだろうか?」
そんなつぶやきに対して、浦部も左の窓から外の景色を眺め、同じように独り言で、
「津田さんが言っていた。富士での興行は難しいと・・・・」
長岡は、運転しながら横目で浦部を見た。
「やはりそう言っているのか・・・・俺も富士市に行ったが、どうもダメみたいだ。明日またこの車で行くが、営業的には何一つ確信がない。お前だけに言うが、今、頭の中はどうしていいのか分からず、真っ白だ」
浦部は、窓越しにいる小さな虫を追いながら、
「僕に弱音を言ったところで何も始まらない。助けることなんか出来ないよ・・・・。しっかりしろよ!お前が言い出したことだ。それに皆が乗って動いているだけだ。今、長岡が泣き言いっても駄目なんだ」
「弱音は言わない。泣き言も言わない。ただ・・・・」
「それが駄目なんだ。長岡は営業的に絶対成功させなければならない。他の選択なんてない!一捨一択。成功だけだ」
長岡は無言のまま、下唇を噛みしめた。
浦部は振り向き、厳しい目つきで言う。
「今は甘い言葉なんてないよ・・・・。津田さんともう少し話すればいい。何か良いヒントくれるかも知れない」
長岡は、浦部がこんなにきつい言い方するのは意外だった。もう少し甘い言葉を期待していた。だが、今の浦部は公演に対して自信を持っている。以前の浦部には考えられない振舞いだが、一つ大きな仕事を任されると人間変わるものだ。
車は、日吉の倉庫前に着いた。
倉庫のシャッターを開けて中に入ると、ひどく埃っぽくて堪らない。中の状態を見るなり浦部は、
「今は、木馬座の人たちもあまり出入りしていない。使ってない道具ばかりだ。ハッキリ言ってゴミ捨て山だね、こりゃあ~」
倉庫の中は広い、天井の高さは10mもありそうだ。整理されていない道具類がゴジャゴジャとある。大きな尺のあるパネルがずら~と並んでいる。白雪の小人の小屋からシンデレラの階段に馬車、眠り姫での立体の森、ピノキオのクジラにジベット爺さんの小屋、その他にもハイジ、マッチ売りの少女、こぶとり爺さん、ぶんぶく茶釜と昔見たことのある道具類や大きなパネル。鉄筋の中二階には、それらのぬいぐるみからマスクに衣装など、高く積まれている。
倉庫の中にはプレハブ建ての事務所があり、そこで浦部は寝泊まりしている。
「昔は、ここでの作業が青春だった、なんてね。その時には仲間がたくさんいたが・・・・また同じ場所で同じことするとは思わなかったよハハハハ」
と浦部は、プレハブの中を覗きながら照れて笑った。
「長岡、営業に使っていた宣材は中二階奥にある。旧白雪の物品もたくさんあるはずだ」
と倉庫中ほどに、裸で錆びついた外階段から上がる、中二階を指差した。
長岡は頷いて、ゴミ山を奥に進み、階段を上がって中二階に行った。昔、自分が営業で売っていた作品のプログラムや物品(塗り絵や下敷きなどの小物)がたくさんあって嬉しくなる。浦部も、改めて昔楽しかった思い出、また同じことの出来る幸せを噛みしめているみたいだ。
お!旧白雪のポスターだ。このポスターは、アニメだけど他のポスターに比べてとても可愛い。これは使える、千枚はあるな。他にチケットの台紙、招待券、パンフに販売用の小物も使うだろう。全て古いが、売るわけではないからいいだろう。
長岡は中二階奥から浦部に声をかけ、二人で手渡しで物品を車に運んだ。
「浦部、俺、富士市に行く前に国分寺(芸術劇場)に寄ってみるよ。津田さんに会って、聞き出せるところまで聞いてみる」
「うん、それがいいよ。僕たちは稽古と作業頑張るから安心してね」
国分寺に戻る車の中で、長岡は思案を巡らせた。何を津田さんに聞いていいのか分からない。津田さんは劇団やまびこの人間ではない。児童劇ではライバルとも言えるし、今回の公演のことは、津田さんの上司(局長)は知らないと思う。アドバイスだけでもいい、何か使える情報があれば・・・・と思い急いで戻った。

続く。


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~今日の一言~

次のアップは金曜日です。
長岡は、津田さんに何か営業のヒントをもらえるのでしょうか?

児童劇と富士山と青春!(その13)


~雑色駅前将棋サロンホーム~

ー苦しいときこそ、明るく元気にー その4

東京に戻り国分寺の事務所に行くと、津田さんが明るい表情をしていた。
「あら、長岡さん、おはよう。これ劇団やまびこ用電話メモとして、一冊用意したわ」
「ありがとうございます。予約の電話、たくさん入るといいですね。・・・・?いや、入りますので・・・・」
手渡されたノートを返して、力ない声で言った。
「二階の稽古場で踊りの稽古していますよ。覗いて行かれたら・・・・。浦部さんもいますよ」
「そうします。みんなとは一週間ぶりなので会ってきます」
少しホッとした顔色を見せて、長岡は下の階へ行った。
二階の稽古場に行くと、十人ほどの若い役者が山野の指導で、基本的な踊りのレッスンをしている。踊りの音楽を流している(音響)のは山本で、浦部はその隣に座って稽古を見ている。
長岡が稽古場に入ると、一瞬、皆の動きが止まり視線がこちらに向いた。
センターにいる山野が、皆に、「紹介するわ。この方が、劇団やまびこの団長で営業の長岡さんよ」
と紹介すると、皆は「おはようございます。宜しくお願い致します」と大きく揃った声で挨拶した。
長岡は照れながらも、「おはよう。宜しく」と言って浦部の隣に、折りたたみ椅子を出して座った。落ち着くと、再び稽古が始まった。
「この一週間でだいぶ進んだ。最初、日吉の木馬座倉庫に行ったときにはビックリだ。山本と道具の片付けだけでも大変だよ。でも、何とかなりそうだ。やはり直しには時間が掛かるが、無い物は無いというか、他の作品から使える物も代用品で賄える」
浦部は稽古のじゃまにならないように、小さな声で続ける。
「役者も、やまびこ四人以外に、津田さんから芸術劇場の研究生を借りることが出来たので、人数的な問題も大丈夫。ただし、まだ初歩的な稽古だから本番までは大変だけどね。音響機材も芸術劇場から借りるし、本番は山本が音響だ。僕は舞台監督として袖に居ることになるな・・・・。後は本番まで皆がまとまれば、プロとして恥ずかしくない公演が出来るはずだ」
浦部は弾んだ声で喋り、三月二十日の公演に手応えを感じているようだ。皆の稽古を見ている浦部は明るく初々しいが、どこか疲れた顔色も出ている。
「浦部、お前あまり寝ていないだろう。一日何時間仕事して、どのくらい寝ているんだ」
浦部は一瞬、表情のない顔で長岡を見たが、
「五時間くらいだ。それ以上寝てられないね。体が勝手に動く、そうじゃないと本番に間に合わないよ。山本だって同じさ、山野さんは自分の仕事や子供もいるもの、もっときついかも知れないよ」と言う。
長岡は同調して頷いた。
「そりゃそうだろう、そうじゃないと間に合わない。俺からは何も言うことはない。その結果は本番でしか表すことが出来ないものな」
長岡は自分に言い聞かせるように言った。
「営業は大丈夫なのか?富士市は何とかなりそうなのか?」
長岡は答えず下を向いて考え、間を置いてから浦部を見た。
「お前、家の車借りられる?動けば何でもいいんだ。やはり機動力ないと」
浦部は少し考え軽く頷いた。
「今から家に来いよ。親に聞いてみるから、たぶん大丈夫だと思う」と答えた。
二人は稽古場を出て、三鷹にある浦部電機に向かった。
裏手にある車庫に行くと、古いハイエースのワゴンとカローラのバンが並んでいた。浦部は両方の後の扉を開けて、中の荷物を取り出して整理し始めた。
「長岡も手伝ってくれよ」と言われ、車の中を見ると、電機関係の荷物でいっぱいの上、油の匂いと汚れでどうしようもない。
浦部は車の中で荷物整理していると、思いついたように振り向き、
「そういえば、本番まで芸術劇場の四トントラック、たびたび借りるけどいいよね。津田さんが一日一万でいいと言っていたが・・・・」
「いいんじゃないか、別に、津田さんの許可があれば・・・・。日吉の倉庫に何か営業に使える物はなかった?」
「う~ん、何かあるんじゃないかなあ。今から行くか?」
「うん。行ってみよう。俺も久しぶりに行く」
二人は空になったハイエースワゴンで、青梅街道から環状七号線で日吉に向かった。
長岡が運転する車の中で、浦部が、
「倉庫の中は昔のままでメチャクチャだが、なぜか宝の山に見えるよ。まだパネル二枚しか出来上がってないが、何とかなりそうな気がする」
と楽しそうに言う。
「一人で作業しているのか?山本も?」

続く。


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~今日の一言~

児童劇と富士山と青春!途中から読まれた方は意味が分からない?
確かに、初めから読まれなければ内容の把握は難しい。
面倒ですが、(その0)から読んで下さいと言うしかありません。

児童劇と富士山と青春!(その12)


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ー苦しいときこそ、明るく元気にー その3

市民センターの隣に、民間の駐車場を挟んで公園がある。中に入り、丸い噴水の右側を歩き直ぐのベンチに座った。
午後の陽射しが温かく、枯れた木々から青空が広がり、緑の少ない木漏れ日が奇妙な色合いを表現している。ベンチの後を振り返ると、児童公園の砂場で幼児二人を連れた母親と、低学年ぐらいの女の子が一人ブランコで遊んでいた。長岡は、ほのぼのした気持ちで富士市の成功を夢見ていたが・・・・。
!?本当はのんびりしていられない。どうしても、三月二十日富士市民の公演は成功させなければならない。とにかく動かないことには、一人でも多くのお客を富士市民に集めなければ、しかし今は、宣材も無い状態で動くに動けない。とにかく一度幼稚園に行って、その結果で作戦を立てるしかない。ここから一番近い大手の幼稚園は、富士清心幼稚園かな?長岡自身も、富士市での手打ち興行は何回か経験しているので、幼稚園での対応は、ある程度分かっているつもりではあるが・・・・。
幼稚園の事務室に行くと、少し太めで五十近くの女の先生が、何か計算でもしている様子だった。
「あの~、劇団やまびこといいます。三月二十日富士市民センターで公演しますのでお伺いしました」
先生は顔も上げずに、計算を続けながら、
「劇団?春公演ですが?ここは四百人ほど園児がいます。チラシがあるなら置いて行って下さい」と事務的に話す。
長岡はぼそぼそと自信のない声で、
「いえ、配るものはありません。引率(園全体での観劇)のお願いに上がったのですが、近くですし」と言った。
先生は顔を上げて、少しムッとした表情を見せた。
「引率?そんな予定ありません。チラシを配るだけなら良いですが」
と言い振り向いて、背中越しにあるカレンダーを見る、「三月二十日は日曜日じゃない。ダメよ、引率なら最低でも平日じゃないと」と声が大きくなる。
長岡は小さくなり、「そうですよね、残念です」と言って、そそくさと幼稚園から出て行った。
おおよそこんな感じである。公演用のパンフレット(チラシ)を園児に配り、親が行きたい人は勝手にチケットを買ってもらうのが一般的だ。もう一つランクを上げて、園全体で来てもらうのが「引率」と言う。行事として来てもらうには、大手の幼稚園なら一年前から計画を立てなければならない。二カ月前では論外である。自分はいったい何を考えているのか?それでも幼稚園に行かないことには、お客を集めることはできない。
次に清心幼稚園からタクシーで十分ぐらいのところにある、白菊幼稚園に行った。ここは事務所が園舎とは別のところにあり、小さなプレハブ小屋になっていて、入り口は普通の引き戸の形になっている。
ドアを引いて中に入ると、一番奥に五十過ぎのネクタイをした男の先生が、一人暇そうにしている。白髪が混じり細身の感じで、たぶん園長か理事長、お偉いさんだと思う。
「すみません。劇団やまびこという者ですが・・・・」
長岡は、先生の顔を見ると頭を下げた。
「おう。劇団か、上がりなさい」
と白髪の先生はニャッとした。やはり暇そうである。
一段上がり下駄箱の横に立つと、チラッと事務所の窓から、園庭の向こう側にある園舎の壁に他劇団のポスターが見えた。
「うちの園では、チラシは配るが集めるのはしないよ。三百あれば足りる」
チラシ配布にも二種類あり、ただのお知らせ(配るだけ)と、幼稚園が集金してマージン(10%)を取る方法もある。これはお金を扱うし面倒なので、断る幼稚園も多い。
なんだか先に釘を刺されたようだ・・・・仕方ない。
「チラシを配るのではなく、引率のお願いに来たのですが、富士市民センターは近いと思いましたので・・・・」
やはり元気のない声で言うと、白髪の先生はデスクに肘を付いて顎に掌を支えて、いかにも考えているそぶりを見せながら、
「引率かあ~、いつの話だね?」
「三月二十日です」
「三月二十日?というと飛行船と同じだ。ほら!あそこにポスターあるだろう」
と園舎の壁に張ってあるポスターを指差した。
題名はオズの魔法使い、良く見ると、三月二十日と十九日にもロゼシアターで公演するみたいだ。十九日は平日だから完全に引率公演、保育園中心に集める気だ。いや、幼稚園も卒園公演で・・・・。ますます劇団やまびこにとっては苦しくなる。
長岡が途方に暮れた顔していると、
「そんなに落ち込まれても困るがね。うちの園では、飛行船ですら配るだけで集めることはしていないんだよ。他の劇団も同じだ。悪かったね」
と言ってニタリと笑い、自信のある顔で何度も頷いた。その顔が、また憎たらしい。
諦めて「そうですか、分かりました」と言って園から出て行く・・・・粘っても無駄である。
幼稚園と劇団の付き合いも三十年以上になると、園の方針と劇団の営業体制が固定していて動かない。長岡は他に大手の幼稚園を三園行ったが、やはりチラシ関係なら良いが、引率となるととても出来ないとの答えが返ってきた。
結局何も収穫なく、無駄足に終わった。
当然の結果で、現状が分かっただけでも良いと思った。

続く。


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~今日の一言~

来週将棋サロンは、14(月)15(火)16(水)と、お休みになります。
ブログは、月曜日に二回分(水曜日がありません)アップします。

児童劇と富士山と青春!(その11)


~雑色駅前将棋サロンホーム~

ー苦しいときこそ、明るく元気にー その2

新富士駅の改札を出ると、自然体の富士山が気持ちよくそびえている。
深呼吸して、めいっぱい体を伸ばして周りを眺める。人もまばらで本当に長閑な駅前だ。左側の大きな道路に出て、少し斜めの歩道に入り、十五分もとぼとぼと歩くとJR富士駅に出る。北口に回ると賑やかな街並みが広がり、どこかの駅と同じように表情のない人々が行き来し、動いているという感じの世界が広がった。
路地を一本過ぎると公園が出て来るが、その隣に民間の駐車場があり、また道路を一本渡ると富士文化センターが見えてくる。少し古いが、モダンで円形型の会館である。文化センターの駐車場から中に入り、正面入り口の隣に会館事務所がある。事務所の前に立て看板が出ていて、何かの講演会で富士市民センターと書かれてあり、自分は初めて富士文化センターではない(名称が変わった?)ことを知った。
ガラスの開きドアを押して中に入り、事務所を訪れると、昼時なのか事務員は男女二人しかいなかった。
「何か御用ですか?」
三十歳前後の髪の長い女性事務員が対応に出た。
「三月二十日の申請の確認と支払いに来ました。劇団やまびこです」
「三月二十日の申請ですね」
事務員は、棚からファイルを取り出してパラパラとめくり、「あ、これですね。申請は済んでいます。予約では、三月二十日大ホールで午前午後、劇団やまびこ、申請者は森本となっています。よろしいでしょうか?」
「はい。結構です」
「では、休日の午前午後で六万千円になります」
長岡はお金を出しながら、「申請に来た、森本という人は御存じでしょうか?」と聞くと、「いえ、知りません」と首を小さく振った。
「僕が一週間ぐらい前に電話した時、三月二十日に僕らの公演を知っている女性の方に、養護施設の引率があると聞きましたが?」
「あ、そうですか、私は知りません。電話を受けた者がお昼で出ています。直ぐに戻ると思いますが・・・・」
そのとき、二十代半ばの小柄な女性が入って来た。
長岡と話している事務員が、「劇団やまびこの方です。あなた知っているでしょう」と声を掛けると、
「先週、電話頂いた方ですね」と言い、デスクの上にあるファイルを覗きながら、
「申請書は出ています。三月二十日午前午後劇団やまびこ。来られた方は森本という女性の方でした。申請書には、下の名前は書かれなかったんですね。・・・・この女性は、養護施設関係の方だということで、五十人ほどの引率も決まっているという話ですが?」
長岡は二人に向かって、少し強い口調になるのを抑えながら、
「僕は、森本という女性は知りません。富士市民との関係も知らないのです。・・・・どんな感じの女性ですか?」
二人の事務員は顔を見合わし呆然としながらも、
「電話でも話しましたが、森本という女性を見た者はいません。私たちにも分からないのです」
長岡は、おや?という顔をして、慎重に、
「今、養護施設の関係の人だと言いませんでしたか?」と聞くと、
「それは、養護施設から電話がありました」
「どこの養護施設ですか?行って確かめます」
二十代半ばの事務員は、ゆっくりと首を振り、
「それが分からないのです。三月二十日には来られると言うのですが、どこの施設かは言いませんでした。いえ、聞かなかった私が悪いのですが、・・・・それで富士市にある全ての施設に電話しましたが、見当たりませんでした。すみません。・・・・やはりキャンセルしますか?どうも森本という女性の悪戯らしい気もしますが、あなたをここまで呼び出して気の毒になります」と言って項垂れた。
長岡はキッパリとした口調で、
「いえ、結構です。養護施設は自分で探します。心当たりもありますし、同じ日にロゼシアターで飛行船の公演がありますので」
二人の事務員は、なぜ?という顔をした。
「だったら、なおさらキャンセルした方が良いのでは?」
「何か、解らない事があるのが良いのです。何かがあると思えるのです。ここに来るまでも、富士市が普通すぎて、何もなく終わってしまうのが怖かった・・・・今の話で、まだ不思議な疑問が残っているので安心しました」
長岡は申請書のコピーをしまい、尚も続けて、
「もう、どの道どんな事があっても引き下がることは出来ません。それじゃ三月二十日はお願い致します。午前九時に会場入りすればよいですね」
と言い、会館事務所から出て行った。
二人の事務員は、キョトンとしてお互いの顔を見合した。

続く。


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8月11日は休日(山の日)ですが、金曜日ですのでお休み致します。

児童劇と富士山と青春!(その10)


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ー苦しいときこそ、明るく元気にー

長岡は、とにかくお金をつくらなければ始まらない。当然の話である。
三月二十日の公演資金と、それまでの準備資金のこともある。単純計算で三百万くらいは必要か?
三百万なら銀行へ行かなくても、サラ金でもなんでも何とかなると思うものの、もし失敗でもしたら後が大変だ。でも銀行が自分みたいに何もない、ただ三十歳という若さだけで、三百万も貸してくれるだろうか?ともかく、お金のことは親父と相談した方が良さそうだ。もう少し大きなお金だったら、逆に誰にも相談できないが、三百万ぐらいならという気持ちもあった。
次の日の朝、コンビニの公衆電話から実家の親父に電話することにした。
「はい、長岡です。もしもし長岡ですけれど?」
実家の母親が電話口に出た。
「あ!母さん、和男。親父いる?」
「何よ、朝早くから、用でもあるの?」
「親父に大切な話があるけれど・・・・」
「まだ寝ているよ、大切な話って?一年も連絡なしに、急に大切な話なんて、お父さん聞いてくれないよ」
「分かってる。でも電話に出してよ。母さんじゃお金の話はできないよ」
「お金の話なら、お父さんだってできないよ。いったい幾ら必要なの?」
「貸してくれとか言っていないよ。ただ、お金の借り方とか、知りたくて」
「馬鹿!よけいひどいじゃないの。いったい幾ら必要なの?」
「三百万」
「・・・・・」
「聞いているの?三百万、銀行に行けば貸してもらえるものなの?」
「本当にだらしない子だね。お父さんと変わります」
長岡は受話器を持ち換えて一息吐いて待つと、電話口に父親が出た。
「おう、和男か?どうした、生きてるか?」
「ごめん。こんなことで、電話するつもりはなかった」
「お前、三百万は大金だぞ。何に使うかは聞かないが、本当に必要か?」
「・・・・ただ、親父から借りるつもりはないよ」
「どの道こんな大金じゃ・・・・お前には何も無いから、俺が保証人にならなきゃならんから同じだ」
「そりゃそうだね。それじゃ相談するのも可笑しいね。直接貸して欲しいと言った方が正しいね」
「・・・・お前が俺に嘘ついた事ないから、保証人になるのは構わない。お前なら、どんな事があっても返してくれるな!」
「ごめんなさい。この歳になって、いまごろだけれども唯一の勝負どきなんだ」
「勝負?下らない使い方だけはするなよ」
「ハハハハ、勝負といってもギャンブルじゃないよ」
「・・・・分かった。お金は俺が作っておくから・・・・振り込むときに電話する」
「ありがとう。待ってるよ、電話。それじゃ・・・・」
親父に嘘はついてないが、何か後ろめたい気持ちになる。やはり結果の見えないギャンブルであることには変わらない。失敗した時のことを考えるとゾ~ッとする。商売でもビジネスでも、結局はギャンブルと変わらないところもあるのだろうか?誰でもやらなきゃならない時はある。それが生きている証なのかも知れない。今、親父に対して、心の中では何度も何度も、ごめんなさいお父さんごめんなさいお父さん。泣いてなんかいられるか、絶対劇団やまびこを成功させる。と心に強く念じるしかなかった。
数日後、三百万を口座に入れてもらい、劇団やまびこ営業としての第一歩が始まった。
その翌日、東京駅から新幹線で富士市に向かった。今回の疑問を解くことが先決だと思い、まずは、三月二十日会場となる富士文化会館に行くことにした。
自分には直感も霊感も無いが、今回は何かあるような気がする・・・・。だとしても、自分や劇団やまびこが成功するのとは関係ないように思うけど、ただ、富士文化で百人足らずのお客を前に、一回だけ公演して借金を何百万も残して終わる。そんな結果になったとしても、何も可笑しくないし何も変わらない。
やはり、頭の中から失敗の文字が消えることは無かった。

続く。


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~今日の一言~

自己を知るために、例えば、感情(気分の良し悪し)をメモすると、意外と知らない自身を客観的に見ることができます。

8月。蝉の声は心地良いですか?


~雑色駅前将棋サロンホーム~

何か急に、自由に書けると意気込んでパソコンの前に座るが、そんなときこそ内容に困ってしまう。
本当は、良いことを書こうとする気持ちがいけないと分かっているが、・・・・普通で良いと思うことが大切である。(・・・・が癖になりつつある。長岡君のせいだ。)

七月は、想うことや反省も多かった。
自分の中での葛藤は、五月六月とどんよりとあり、ただ、辛いと思い込んでいたようだ。
気持ちの整理もつかないまま、自分自身を責める気持ちに悩まされていたように思う。
そんなことの繰り返し、一人の時間が長いと勝手な思い込みから出られなくなる。
A型ですか?と聞かれれば、そうですと答えるだけだ。日本人の40%にあたる45,000,000人の中の一人です。

最近は良く分からないが忙しい。これも藤井効果なのだろうか?
売上げが上がることに感謝しないといけません。それ以上に、独りの時間が少なくなることに感謝するのでしょうか?

ブログもそうですが、お店(サロンや教室)も常に、三カ月先を見越しながらの今です。
その先のことは分かりません。
自分自身でも思わぬ展開や事態もあるのでしょう。三カ月先の自分はどう変わっているのか?不安を払拭し好機に期待するしかありません。
人は、その日々の積み重ねです。

7月の結果報告です。

CIMG5122.jpg

優勝 I・K2級  11勝0敗 勝ち点11

2位 T・H8級  11勝3敗 勝ち点8
3位 T・R7級  9勝2敗 勝ち点7
4位 K・M8級  11勝6敗 勝ち点5
5位 S・K8級  7勝4敗 勝ち点3

I・K2級の完全優勝です。今の子供教室でのメンバーでは、I・K君に勝てる子供はいないのでしょうか?頑張ってほしいと思います。

第45回六郷杯リーグ戦(8月分)

CIMG5123.jpg

夏休みということで、8月も子供教室中心です。今回は、完全に小学生中心(中学生一人、園児一人)になりました。
ルールは、初めに決められたルールをそのまま続けています。
将棋のルール以外にも時計のルールは微妙な判断で、あいまいでは本人のためになりません。
基本初級者の対局は、時計を使わないことにしました。

7月の昇級者

T・R7級へ、 K・M8級へ、  以上

今月の招き猫です。

CIMG5121.jpg

う~む、猫が盆踊りとは、
あれ!?猫はたい焼きを食べるのか?奥の方です。


~初心者(大人)女性子供将棋教室~

2017年心機一転、新しいことにチャレンジしてみませんか?

暖かくなり、明るい季節が来ます。
頭のスポーツに適した環境ではないかと思います。
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~六郷杯リーグ戦~
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お問い合わせ 03-3737-0588

~今日の一言~

次回からまた、児童劇と富士山と青春!の続きが始まります。
つまらないと言わず読んで下さい。必ず、損はさせません。・・・・いや、どうかな?

児童劇と富士山と青春!(その9)


~雑色駅前将棋サロンホーム~

ー舞台裏の七人ー その6

木村の住まいは東京都調布市である。
経験のあるダンサーでも、舞台に立つにはそれなりの訓練は必要だ。五年も舞台から離れているので、身体も鈍っているし踊りの感覚も戻さないといけない。踊りの稽古が出来るところだったらどこでも良かった。
荻窪辺りで探していると、ダンススタジオの看板が目に入った。古い階段を三階まで上がると、テンポのある音楽が聞こえて来る。ガラスドアから中が見える。先生と生徒二人のマンツーマンでのレッスン中だった。少人数ならと思い、構わずドアの取っ手を引いて入った。
大きな鏡が眩しく、夕日が西の窓から鏡に反射して板の間の室内に広がる。その中で、オレンジ色の陽射し体いっぱいに浴びて力づよく踊る。そんな姿が新鮮で、明るく健康的に見えた。映画フラッシュダンスの一場面でも観ているような光景に圧倒されながらも、木村はハッキリした声で、
「レッスン中申し訳ありません!」と二度繰り返して言った。
中に入ると、他に男の人が三人見学していた。みんなの視線は、ドア口にいる木村に集中した。山野は音楽を止めてダンスを中断させた。
木村は、今、目の前で見た爽やかな感触がどうしても味わいたくなり、
「あの~ここのレッスン受けたいのですが・・・・今、今かでも出来ないでしょうか?」と山野に聞いた。
「今?今はダンス教室のレッスンではありませんが・・・・。ぬいぐるみ劇のレッスン・・・・劇団の」と言って長岡に視線を向けた。
木村も長岡と目を合わせ、
「劇団!?劇団もやっているのですか?私にも出来ませんか?」
「突然言われても・・・・、私たちは人手が足りないので出来る人は欲しいのですが、あなた自身がどう考えるか、今回はぬいぐるみ劇ですし」と長岡は答えると木村は、
「ぬいぐるみ劇でも構いません」
「でも、一口に劇団といってもいろいろですし、普通はポリシーとか内容など調べてから受けるものだと思うけど、あまりにも唐突過ぎて」
「私にはそんなものありません。踊りたいからここへ来たのです。仕事も無いし趣味も無い、プライドもありません。もし私に新しい世界があるのなら、今、劇団とも考えたのですが・・・・いけなかったかしら?」
小柄で髪が長く、三角顔という表現はあるのだろうか?美人ではないが黒い瞳に特徴がある。服装は黒を中心とした派手な感じもするが、ハッキリしていて好感の持てる女性だ。歳は三十代前半か?何となく島田にも似ている。
長岡は柔軟している島田をチラッと覗いた。木村に、スタジオに来た動機を聞くと、
「目的?それは踊りたいだけです。でも、他に思いっきり出来ることがあるならと」と言って、「私、木村美月と言います。ダンスなら少しは自信あります」
「いや、突然女の人が知らない所に・・・・怖くないですか」
木村はキョトンとした表情を見せて、
「私、殺されなければ平気です。昨日まで****していました」とあっけらかんと言った。
一瞬、スタジオの空気が凍りついた。
みんな木村の表情を伺うが、木村は涼しい顔をして笑顔を見せた。

続く。


ー長澤の感想ー

少し空白が出来ましたので、ここまでのおさらいです。
劇団やまびこは、落ちこぼれの長岡和男を中心に、浦部進、山本良一の男性スタッフと、山野慶子、島田美恵子、木村美月、仲田百花の女性役者で形成されました。芸術劇場の津田は、大切な相談役です。
そして、なぞの女性森本とちいちゃんの関係は?
三月二十日富士文化会館でのぬいぐるみ劇公演を成功させるために、どのような試練が待っているのでしょうか?
「矢は放たれた!」
後戻りのできない運命、後悔しないための日々に挑戦します。

人は妥協することは簡単です。でも、可能性ある限り最後まで努力する。
勝ち負け(成功失敗)は関係ありません。やり抜くことに意義があります。

私も長岡君に教わりました。
何となく教室でいう言葉、将棋にも通じるものがあります。
周りに笑われようと無視されようと、そんなこと気にするから、ひとは挑戦する気持ちを隠します。
長岡君は、確かに自分で選んだ富士文化での公演ではありません。
でも神様からの贈り物(試練)は、人生にかけがえのない一ページを頂いた。
辛いこと、きついこと、泣きたくなること、それは楽しいこと嬉しいことの途中にある、何でもない道だと彼は言いました。
私も長岡君の私記から、それらのことを良く理解することができました。
そして、本当のスタートはここからだったのかも知れません。

ありがとうございますした。


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あれ?気づいたら八月だった!
プロフィール

長澤席主

Author:長澤席主
他人を思いやれてこそ自立
傲慢で配慮がないのは孤立

名言カレンダー10月号より

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