児童劇と富士山と青春!(その32)


~雑色駅前将棋サロンホーム~

ー緞帳が上がる、その瞬間!ー (その3)

ロビーはお客も捌け、だいぶ落ち着きも取り戻した。フリーになっているトランシーバーからは、舞台裏の声が聞こえてくる。
津田が、「凄いわ。一階二階と二千人以上入ったかしら」と言うと長岡も、「最後の集計が楽しみですね」と答える。
とホッと一息ついて、椅子に座り直した。この時、机の上には残件が数百枚程度に減り、下の箱には千円札中心に、メチャクチャに詰め込まれていた。
長岡は、椅子に寄りかかり暫く放心状態になる。目が掠れて周りがぼやけて見え、頭を下げて、フッと脳裏に光を感じた。今回の公演が成功したことで、劇団の存続が決定したのだと感じた一瞬でもあった。
その時、頭の中に雷が落ちたようにリリリリリリリッと本ベルが鳴った。
「津田さん、窓口お願いします」
長岡は本ベルが鳴り終える前にと、広いロビーを走り扉を引いて会場の中に入った。
全体を見回すと、今、客電が少しずつ落ち、暗くなり、会場のざわめきも小さくなっていく。一瞬、完全暗転になる。
長岡はどうしても、この瞬間を見逃す訳にはいかなかった。
緞帳裏の舞台上では、板付きした役者たちに緊張感が走る。下手袖には浦部が、PAには山本が、上手袖に聖闘士4、皆本ベルが鳴り止むのを待っている。本ベルが鳴り終わると直ぐに音先行で始まる。
幕開けの曲が流れて緞帳が上がる瞬間、何もない何も見えない空間が出来ると、幕開きの音楽がオーケストラと共に会場全体に響き渡り、緞帳の上がって行く隙間から強い光線がサーッと広がると、会場の子供たちがワーッと盛り上がった。
緞帳が上がり終えるのを見届けると、・・・・長岡はフッと、涙がこぼれそうになる。
芸術劇場に飛び込み、嘘を並べて出来もしない約束をして、泣き顔に笑みを浮かべ、雨に打たれながらの営業では何度も辞めようかと思った。どんなことがあっても、いつも皆の顔が、元気な笑顔が俺を支えてくれる。皆が頑張っているからこそ幕が開けられたと、長岡はこの時ほど友情というもの、人間は独りでは生きていけないと実感した。
緞帳は全開しオープニングの音楽も終わり、一幕一景、王宮の場面に入った。
これから、この一つ一つの演技が劇団やまびこの歴史を創って行く。長岡は今一瞬、回想に走ったが、まだまだ振り返る時期ではない。頑張れ浦部、頑張れ皆と思いながら窓口に戻った。
津田は、山積みになっている半券を整理しながら、チラッと長岡の顔を覗いた。
「どうだった。劇団やまびこの初演の姿は?・・・・皆大丈夫だった」
「ええ、大丈夫です。皆元気な姿で舞台にいます」
と長岡は答え、机の上に乱雑になっている残券整理に取り掛かった。
舞台では二景も終わりに近づき、今、白雪姫が小人の小屋を見つけた場面だ。
この作品では、小人七人のぬいぐるみ製作が一つのポイントとして上げられる。大人が入るぬいぐるみで、如何に小人らしく作るかが問題であった。実際には、頭を大きく身体を横太りに、足を短く作ることによって小人らしく出来上がった。
浦部は下手袖から三景に備えて、皆に指示を出してから綱元に行った。暗転になり、二バトンを上げて三バトンを下ろし、ドロップを付け替える。中割れ式の小屋を回転させて、お后の部屋から小人の小屋に換え、小道具も揃える。次に十五尺パネルを用意して・・・・。舞台裏は徐々に忙しくなり、他の役者やスタッフも走り回る。
混乱の中、ようやく舞台も整い、小人に入った役者たちが舞台に出て行くと、会場はどよめきや小さな笑いの渦がいくつも出来た。
浦部は、下手袖から会場の反応を感じ取ると、「これからだよ。これから彼女たちの本当の実力が出るのだ。稽古のなせる技だぜ」と独り言を言った。
浦部は進行表を見ながら三バトンの裏に行き、上手袖にいるスタッフたちと、お后の部屋の仕込みを始めた。舞台では小人の小屋の周りで、白雪姫と小人たちの演技が続いている。
浦部たちは、表舞台の演技や客席の反応をドロップ一枚隔てた真裏で聞きながら、息を殺して静かにしかも敏速に、時間と戦っている。
「ヒ~ヒヒヒ、白雪姫もこれまでよ」
一幕最後の毒林檎を作るお后の姿に、テープの台詞が重なり、暗い音楽が流れて緞帳が静かに下りた。
ロビーでは、売り上げの整理を終えた二人が、休憩中に販売する物品売り場を設置して、休憩時間に備えた。
長岡は一幕終演後のお客の反応が気になり、会場の雰囲気を確かめに中に入った。
満員に膨れ上がった会場を何回見回しても、改めて目頭が熱くなる思いがした。
急いでロビーに戻り、今度は津田さんの手伝いをする。物品売り場では、たくさんの人だかりが出来て、津田さん一人では大変そうだった。
楽屋では、役者スタッフと一幕を終えて疲れ切っているが、何とかやり終えた安堵感の空気がある。上隅にあるモニター画面には、緞帳の下りた舞台が映り、会場のざわめきが聞こえてくる。
二ベルが鳴り、音楽先行で二幕の緞帳が上がった。
浦部は袖から、小学生も多い客席を眺め、「これは、小人の人気よりも聖闘士4の人気かな?」と思った。
舞台では、小人たちが踊りを楽しみながら、自由で軽快な演技を見せて、客席を尚も盛り上げている。

続く。


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~今日の一言~

我慢すること、行動すること、両方とも大切なことですが結果は異なります。
改めて、時間の使い方は難しいことだと感じます。
プロフィール

長澤席主

Author:長澤席主
他人を思いやれてこそ自立
傲慢で配慮がないのは孤立

名言カレンダー10月号より

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