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新六郷の青空 島田兄弟 1


島田兄弟、仮名である。
あれは小学五年生頃だったか?もう四十数年も前の話になる。
私はずーと六郷にいたわけではないが、今は生まれたこの土地に住んでいる。
五年生の時、遊びは野球中心だった。でも、いろいろな遊びがあった。ある時、ひょこり流行り出しそして消えて行く、そんな遊びがある。
めんこもその一つとしてあった。
今でもあるが、西六郷に白山神社がある。当時は小さな公園と境内が続きになっていて、小学生の遊び場としては恰好の広さであった。
十人くらいの子供たちが軟球のテニスボールで、野球を楽しんでいる姿が日常の景色だった。
その奥に神殿があり、大きな神殿の土台に高さ1、2m位で奥行2m位の石段が、神殿をぐるりと一周していた。
そこも子供たちの遊び場としてある。別に開放していたわけではないが、そんな場所でもあった。
めんこが流行り出すと、石段の上がゲーム場となり、いつも十数人の小学生が集まり、対戦していた。
石段の上は本当に綺麗で、裸足で歩いても痛くないほど澄み切った土台で出来ていた。そんなところが、めんこに良く合っていたと言える。

ただ、めんこと言うと対戦相手と一回づつ叩き合って、相手のめんこをひっくり返す。だけではない。
それは「叩き」と言って、一つの対戦方法にすぎない。ここで流行っていたのは、「挑戦」と言う、少しルールの難しい競技であった。
めんこには、わるめん、ちゅうめん、いいめん、と三種類に分かれていた。
わるめんは、どこでも売っている(と言っても、駄菓子屋のことだが)十円で十枚の束になっていた。絵柄が当時人気のあった仮面ライダーとかウルトラマンなどの、誰でも手に入れられるめんこのことだった。
ちゅうめんは、わるめんと同じ大きさだが、絵柄がその時代より少し前の、スーパージェッターとかまぼろし探偵のように、小学生が手に入れるには、少し手間の掛かる(私は最後まで分からなかった)めんこであった。
いいめんは、わるめんより二回りほど大きく、絵柄が江戸時代の武将のようなものだったか?明らかに貴重なめんこと言えた。

挑戦のルールは、お互いのめんこを何枚か出し合い(ほとんどがわるめんで、十枚くらいが基本か?)それを、お互いの大面で一回づつ叩き合い(大面をわるめんにぶつける)わるめんがどこかで裏になっためんこが他のめんこに触っていれば、そこから大面で、裏のめんこを引き離すと勝負が決まる。または、わるめん同士が単独で表裏状態で、他のめんこに触ってなければ勝ち。確か、この二通りの勝ち方があったと記憶する。
勝った方が、出し合ったわるめんの総取りとなる。これが大きな勝負になると、わるめん百枚とか、ちゅうめんやいいめんの戦いも、たまに見かけることがある。
勝負が決まると勝った方は、「いっちょん」と大きな声で、ガッツポーズを取るのが気持ち良い。
小学生の割には、レベルの高いギャンブルとも言えた。
そんな感じで、神殿の周り石段の上ではいつも、子供たちの活気で溢れていた。

島田君は良く弟を連れて来ていたが、いつも小さな勝負しかしなかった。私もそうだが、めんこはどちらかと言えば負け組だったように思う。
勉強は中の上くらいか、野球はしなかった。おとなしい感じで物静かだった。将棋を指した記憶もある。当時は良い勝負だった。
私との接点もあまりないように思うが、何度かお互いの家で遊んだ記憶はある。
小学生は、まだそれほど仲良くなくても、なんとなく遊んだりもする。「照れ?」そう言うのか?中学生になると他人との距離感が人それぞれ違ってくる。それが親近感とでも言うのだろう。

まだ昭和も四十年代だと、誰もが貧乏とでも言えるのか、ここ六郷は、下町で商工業と活発な街であった。
だからではないのだろうが、貧乏に対して、さほど抵抗感もなかったと思う。それでも蕎麦屋である私の家では、食べることに対して何も苦労がなかった。親に感謝である。
小さなアパート住まいの友達はたくさんいた。その中でも昭和二十年代からありそうな、平屋で長屋のアパートは珍しかった。少し広く見えたので、たぶん八畳一間に二間の台所、トイレは共同だったと思う。
島田君は三人兄弟で、弟が園児でその下に女の子がいたと思う。
私が遊びに行った夕方、帰り、島田君のお父さんが帰って来た。
「今日は、お土産があるぞ」と言って、三人にガムを一つづつ手渡した。そしたら子供たちはもの凄く喜んで、家の中がパニックになってしまった。帰りの道中、私は「ガムがそれほどの物なのか?」と思った記憶がある。

当時の街並みは今よりも緑の光景、茶色い畑も多く、季節感の匂いが強い。木造よりもモルタルの印象が強くあり、鉄筋の造りは大きな施設だけだった。
小さな工場商店、二階建てまでの家々からは、人の声や機械の振動またはテレビの雑音、街の活気が体感として聞こえて来る。動物の鳴き声がまだ元気よく、時代が自然との共存を許していたのか?
今は何か立体で頑丈な、堅く感じ、古くなるものは見放され、放置されるか消えて行く。
街もそうだが人間も変わり行く。古くなるものは見放され、放置されるか消えて行く。


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旅?いえ、仕事です。 その15 地方の車内は東京と違います。


なんだか、あまりにも天気が良すぎて眠たくなる。
12時10分前、お昼かあ、次の飯能行きは12時8分、駅ホームには誰もいない。秩父駅、ホームの中ほどのベンチで紅葉眺めるのも、乙である。
現場は入間で15時、三時間もある。その余裕がなおさら、動く気力を減退させる。山の中にある街、秩父。なぜ、こんなにも独立した街が栄えているのだ。
東京はもとより、飯能までも一時間ある。昔は炭鉱か何か?Wikを見る。銅、近年ではセメント、なるほどね。
電車が入って来る。そのころには数人と人は居る。出発まで10分ほどある。

最近かなあ、地方に行くと始動の扉をよく見かける。外に居ても中に居ても、自分でボタンを押して開ける。そして閉めることも出来る。
出発時、開いている扉は自動で閉まる。扉ボタンが点灯するとき、始動操作出来る仕組みになっている。
知らないで、降りる時ジッと立っていると、いつまでも開かない。目の前を手が伸びて来て、誰かがボタンを押す。
「あ!すみません」となるし、押さなくてはいけないと思っていると、点灯前に何回も押して、「あれ?あれあれ?」と焦ってしまう。
降りる気が無くても、扉横に凭れていると、「すみません」と言われて、「あ!すみません」と言って、ボタンを押せるように、身体を退かす。
慣れて来るとエレベーターガール(今でもいるのか?)じゃないけれど、降りそうな人が立っていると、開くボタンを押してあげると、「すみません」と会釈される。
一つのコミュニケーションであるが、地方ならではの風情(風景)とも言える。

地方の電車で、まあ、平日昼間の時間帯だけではあるが、楽しみがある。
二席づつ向かい合い、四席のボックスは普通にある。それを独り占めすることである。乗客が少ないと、誰もが人の居るボックスには座らない。
そこで靴を脱ぎ、足を前の座席に伸ばすととても気持ち良い。
最初のイメージでは、田舎の風景を眺めながら駅弁を食べる姿を想い描いていたが、今はダイエット中なので、肉まんと爽健美茶で楽しんでいる。
ただこの電車は、山の中を走るだけでそれほどの風景は望めない。それも飯能まで(この後乗り換え)なのでたいした距離でもなく、一瞬の幸福と言ったところだ。
そんなときは読書であるが、これは電車の中なら時と場所選ばないので、こんなに天気の良い昼間にはもったいない。

フッと気が付くと、隣(前)のボックスに親子らしき三人が居る様だ。
声だけで判断しているのだが、母親と園児以下で男の子と女の子の感じだ。女の子が大声を出すことが面白いらしく、キーと切れる声、男の子もバタバタと騒いでいる。それをとがめている母親も自然と大きな声になる。
うるさいとも思うのだが、別に何も感じない。あれ!?これが夕方の山手線だったらどうだろうか?確かに迷惑だよな?
昼間の人がいない電車の中、ボックスには他人がいないので家に居るのと同じだろうな、他人が多ければ子供でも騒いだりしない。
と言うことは今の状況は、何も他人に迷惑なことではない?いやいや、ここは電車の中、私(他人)が居るではないか、と思い立ち上がり、隣のボックスの前に行った。
騒いでいる子供たちは瞬時動きが止まり、目を丸くした。母親もこちらを見て、驚いた表情で「ヒィッ」と声にならない音を出し、「す、すみません」と謝り、子供たちを睨んだ。
そんな凍りついた空気に子供たちは反応して、いきなり大声で泣き出した。
少ない乗客でも、何人かの人たちが私の方を見た。何だか私がまずいことをしたみたいな空気になり、ここで子供たちをあやすのも、どうか?・・・・どうしたら良いのか分からなくなり、ひと言、「なんてこった、パンダこった」と言ってしまった。
母親は不思議そうな表情になり、「そ、それは?ダジャレ、ですか?」の問いに、私はますます窮地に追い込まれた。

そんなことを想像すると、笑えてきた。
隣のボックスはますます騒がしくなるが、まあ、そんなものかと思い。電車走行の響きやアナウンスの音に、自然と馴染んでいった。

都心の電車、アナウンスでの注意はいくつもある。
一番は歩きスマホ、次は優先席付近での電源切り、そして電車内での電話である。
歩きスマホは最近多く、本当に危険な行為だと私も思う。
優先席付近での電源切り、これはペースメーカーのことだが、良く分からないことでもある。それなのかどうかは分からないが、ほとんどの人が意識して電源を切ることは無いように思う。
そして電車内での電話だ。
確かにうるさく、他人に迷惑だと感じる。誰でもそう感じるし、ほとんどの人が、もし携帯が鳴ったら、話をしても迷惑の無いように小さな声で話すだろう。
しかしこれが普通の会話なら、うるさいと思っていても迷惑だと感じるだろうか?
関西の電車や関東でも土日の電車は、普通にうるさい。だが、車内の雑音に馴染んでいる。
この違いはどこにあるのだろうか?日本人の不思議なところだろうか?

そうそう次回から、旅?いや、仕事です。と並行して、新シリーズ始めます。
え!?どうせギャクか何かだろ?って、長澤はワンパターンだからって?まあ、そうかも知れませんが、必ず皆様の心を動かす文章を書きたいと思います。
期待して下さい。・・・・やば、自分でハードル上げてしまった。

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しょうもないやつだけど、お前が好きだ!


上を見上げて一息すると、本当にお前は勝手だよ!でも、その自由さが好きなんだよ、と思ってしまう。
朝、線路沿いを歩きJR蒲田駅に向かう。どんよりとした厚い雲、雨が降るんだか降らないんだかハッキリしない。
天気予報って、信じたいけれど当たらないこともある。だから降水確率とか言って、ごまかしているのか?でも、見ないわけにはいかない。
そうそう、そこで大変な物見つけてしまった。折りたたみ傘、・・・・知っていますか?
・・・・あれ!?今日はみなさんは?出て来ないのかな、まあいいか、今回は一人称で話します。

最近、ローソンで買った折りたたみ傘だけれども、開くのはワンタッチ、驚くなかれもうワンタッチで閉まる、半分だけれども。値段も千円と安かった。
科学の進歩もここまで来ると、空を飛べる日も近い。・・・・、なんかみなさん(ツッコミ)がいないとやりにくい。
ただ、差しているときに間違えてワンタッチすると、悲しいことになるから気おつけてね。
意外と気づかなかったことだけど、折りたたみ傘、布のカバー?と言うのかケースって、思いのほか必要だよね。
例えば雨の中駅に着いて、濡れた傘を振り、雫をある程度落としてカバーにしまうと、鞄に入れることが出来る。そりゃあしまうかどうかは、その時々で変わるものだけどね。
めんどうのようだけど、普通の傘を持って歩くよりは良さそうだ。まあ、それも人それぞれの生活パターンで変わりますな。
折りたたみ傘の本当のところは、少し重たくなるけれど、持っていると言う安心感にあるようだ。
雨のことを心配しなくて良い。無ければどうしようと言う、余計な思考を使うだけだ。つまらない感情である。
安心感とは、頭を使わないマイナス面もあるが、この場合小さな嫌悪感は要らない。

私が苦労するのもお前がいけない、でも、お前の身勝手なところはみんなが好きなところでもあるし、仕方がないよ。
お前は芸術家でもあるし、たぶんだが一度でも、同じキャンパスに同じ模様は描かないよな。なんか凄すぎるよ。
一瞬も止まらない描き方は動画で表現する方が簡単だが、それでは飽きてしまうだろう。
そうだなあ、お前には楽しさを表現する技術が無いように思えるが、私たちに楽しさを提供する?そんなふうにも思えるよ。
でも、それ以上に生活には必要なことだし、まあ、やっぱし自由でいてほしいよ。

雨の日は、いや、小雨なら帽子ぐらいで良いかもね。そういう人もいるけれど、自分は被らないなあ。なぜだろう、分からない。
結局はお前のせいか?
冷蔵庫の中には水しかなあい~冷蔵庫の中には水しかなあい~ラジオで良く流れている。最近のミュージシャンは何が何だか分からない。
しかし驚くほどシンプルな歌詞でビックリ、曲が良いので、そう言う創り方もあるのかなあ、と思ってしまう。
お前の芸術もかなりシンプルだよな。白と黒と灰色と、あと何か使っていたっけ?
何?赤と青と真黒?、それは違うだろう。他人の物だよ。
やっぱり、お前ひとりでは無理だな。才能は感じるが、・・・・一瞬で描き切る造形とでも言うのか、そんな表現でも良さそうだ。

でもやっぱし勝手すぎる。勝手すぎるから困るだろう。
合羽も着る人もいるな、やっぱりそれもライフワークってことかな。
お前は人のじゃまばっかし、・・・・なぜ自分は自転車乗らないんだろう。昔は持っていたし、ある時期から歩く習慣に大切さを感じたのだろう。
それに何度か盗まれたことで、いやになったと思う。田舎では車がなければ困るのと同じく、東京では自転車が、・・・・無くても平気かな、ハハハハ。お前も笑え。
お前は自転車乗れないよな、知っているよ。だから自転車のじゃまばかりするのか?性格悪いよ。でも、お前がいないと寂しいよ。どうしてかって?やっぱり芸術的センスかって?
違うよ、生活に困るだろう。馬鹿だなあ、本当に分からないやつだ。大切なんだよ、お前がいなかったらどうするの?だろう。
好きなんだよ。

長閑な日もある。11月の暖かな昼下がり、日曜日は誰もが落ち着ける。空気が薄く、紅葉の時期、緑の匂いが懐かしい。
オレンジ色の陽射しが緩やかに素肌を刺激する。
見上げてごらん、青い空を、太陽の眩しさは偉大だから、白くてもくもくと流れる雲、今の姿は直ぐに変わる。
大空と言うキャンパスに、次はどんな姿を見せてくれるのか楽しみな、
お前だ。


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旅?いえ、仕事です。 その14 席主と元席主


快晴の秋空、土曜日の午前中である。仕事が一つ横浜で終わり、これから富士フイルム前駅?に向かう。
どこの駅?と調べてみると伊豆箱根鉄道大雄山線って、聞いたこと無い。
横浜から、とりあえず小田原に行くことにする。
普通だったらJR東海道本線で行くのだか、現場の時間が午後一時からで、四時間ある。早く行ってもしょうがないと思い。相鉄線で海老名方面から行くことにした。まあ、気分転換にも良いと思った。
海老名行き特急に乗る。車内はまばらで、余裕のある時間、私は読書でゆったりとする。
相鉄線の終点、海老名駅で乗り換える。ぞろぞろと小田急線小田原行きに人の流れが出来、ホームに出ると、何か懐かしい!?(そうでもないか?)将棋の文字が入った、Tシャツを着ている人を見た。
今は結構寒い、私でさえ長袖のYシャツの上に薄手の黒い上衣を着ている。少し早歩きで同じ車両に乗る。
黄色いTシャツの背中には、「厚木王将で将棋を指そうよ。」と書いてある。
厚木王将の席主?
物凄い違和感を感じ、悲しくなった。寒い土曜日の午前中、行楽客の人混みの車内、変わったTシャツを着た、長身で中年のおじさん。少し前の自分を見ているようだ。
乗客の多くは背中の文字は観えるが、関心は示さないと思う。それ以上に、寒いのに黄色いTシャツ一枚のおじさん。場違いな違和感を持つだろう。
次の新厚木駅で降りたから間違いない。席主だ。

サロンを始める前、現状を知りたく少し将棋センターを回ったことがある。厚木王将にも行った。その時、席主からいろいろ勉強になる話を頂いた。
確か私と同世代で、大学将棋部出身。当時でも、副業で家庭教師をしていると言っていた。経営の大変さをつくづく感じる、話であった。
でも今となっては、それで良いのだろうか?
席主の顔姿やTシャツの恰好だけで判断してはならない。厚木王将の現状は何も知らない。だから、余計なことは書くものではない。失礼にあたる。
ただ悲しくなり、泣きたい気持ちが身体を震えさせる。
私だって、続けられるものなら続けたい。いや、続けたかった。
過去形です。
御釈迦様のお言葉に、
~戦いにおいて、一人が千人に打ち勝つこともある。しかし、自己に打ち勝つ者こそ、もっとも偉大な勝利者である。~
私の中では、信じ、かなり響きのあるお言葉である。
誰も助けてくれない。自分に勝たなくては前に進むことなど出来ない。サロン経営は過去の時代ですが、必ず違った形で創りあげ、生き続けなければいけない。
負けたのではなく、道を迂回しただけ。あのままだと、そのまま歳と共に衰え取り返しがつかなくなる。何とか余力のあるうちに、出直さなければならなかった。
戦略的撤退とでも言ったところだ。

小田原駅で大雄山線に乗り換えて、それでも時間が早いので一つ先の終点、大雄山駅まで行ってみる。
観光地でもないが、いや温泉でもあるのかな?と思い、少しのんびりと川沿いを歩いてみる。二重三重と重なり合う山々、前の山は青く、後ろに行くほど白くかすんで見える。
川の流れもちょろちょろと、落ち着いている。人々は少ないし、焦った様子がどこにもない。
山の中のある都会、そんな感じがする。自然の中にいるが、ひと通り生活に不便さは感じられない。
良いところだなあと思うが、ただ仕事となると小田原まで行かないと、無いのかな?と思ったりもする。

夢として持つことはどうだろう。こんな何でもある田舎で、のんびりと暮らしたい。
夢は未来にあるもの?だけれども、サロンでの日々は何だったんだろう。過去に「ある夢」だったのか?
子供たちに将棋を教えていたのは、確かに理想の姿、私の昔の夢だった。
先ほど、サロンは過去形と書いたばっかし、・・・・夢が過去のものとしてある。不思議だ。
夢を果たしたはずだが、どう考えても上手くいったとは思えない。・・・・続けられなかった現実が、自分自身で失敗だと感じている。
他人はどう見ているか、それは関係ない。御釈迦様の教えに従えばそれで良い。
夢を果たした自分がいるが、何も喜べないし未来につながるものが見えない。
これで良いのか?良いはずがない。
じゃあどうする。新しく未来を見るしかないだろう。希望を持ち夢を切り開く。
それにはやはり、今の自分自身を立て直すしかない。心身ともに、それから技術もである。
それがやだったり、出来ないと思うなら、死んでしまえとなる。

自己に打ち勝つ者こそ、・・・・御釈迦様の教えに従えば、それで良い。

#厚木王将の席主を見かけたのは、かなりの確率の偶然である。
以前一度は会っているが、黄色い厚木王将のTシャツを着ていなければ分からなかった。それに時間帯もそうだが、相鉄線の海老名周りも時間に余裕があったから乗った。
こういう出来事は必ず意味がある。出会ったわけでは無いが、意味を分析する価値はあるとしたものだ。

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旅?いえ、仕事です。 その13 みなさんとの会話


朝ラッシュの時間帯、京急蒲田駅の6番線に着く。ここから4番線の羽田空港駅行きに乗り換える。
人が、ぞろぞろと歩く姿は暗い。5番線で品川行きを待っている乗客の前をだ。後は混んでいて歩けない。黄色い線の上(点字ブロック)を二列並んで歩く姿は、死の行進のようで気味悪い。何度も書くがホームドアの無い駅は怖い。このように大変混雑している時間帯は特にだ。
もしホームドア新設に金銭的な問題があれば、東急多摩川線のように、真鍮の柵でも良いと思うのだが、・・・・見た目にも安心感は高く、柵の外を歩くことはない。

以前、4番線に空港行きと着いた電車に飛び乗ったら、成田空港行きだった。そして平和島で乗り換えて戻り、3番線で待っていると、なかなか来ない?と思ったら上の1番線に来ていた。上に行ったら下に次の電車が着いた。そのまま我慢して上に着いた次の電車に乗ったら、羽田空港まで止まらなかった。
行きたい駅は、穴守稲荷駅だった。私は浦安鉄筋家族の春巻龍先生かと思った。

3番線には、羽田空港から品川方面または横浜方面もある。驚くことは、横浜方面から入って来て羽田空港に行く電車もあるし、品川方面から羽田空港に行く電車もある。
線路は一つなのに、どうなっているのか分からない。これはきっと一般人を驚かすマジックだ。
ラスベガスを凌ぐ、京急蒲田ショーとも言える。
それともこれが本当の蒲田行進曲?
上手い!自画自賛・・・・ほど、見苦しいものは無い。

京急蒲田駅から羽田空港行き、今日は天空橋から東京モノレールに乗り変えて、新整備場駅に行く。
これは希で、普通は穴守稲荷駅に行くことは多い。成田空港方面で空港第2ビル駅も少ないながら行く。穴守稲荷駅と聞くと、何か空港と関係している仕事、とも言える。
お!?凄い!はや!
朝、混んでいる電車の中で見たものは、・・・・ここで止まると怒るのは、みなさん。

続けます。見たものとは帽子を被った女性。(それがどうした。)
出たな、天の声じゃなくて、みなさんの声。(いいから続けなさい。)
服装は地味目、普通のOLだ。(それは書かなくても良い。)
手にはスマホ。(それも書かなくて良い。)
いや、違うんだなあ、そのスマホなんだよ。(ほう、スマホね?)
早いんだよ、キー連打。(そういう人はいくらでもいるよ。)
それが混んでいる電車の中、両手で、両方の薬指と中指の間にスマホを持ち、残り四本の指で叩いている。(確かになんか凄そうだね。)
普通は片手で打つが、それより速い。(あたりまえだよ。)
たぶんではあるが、私のパソコンキー連打の百倍速い。(確かにそうだね。)
仕事メールだと思うが、何も考えず何も確認しないで、良くそんなに簡単に制作することが出来る。(長ちゃんとは違うよ。)

私の場合、例えば、~お、も、う。と書くと、思う。想う。または当て字で最近、憶う。どれを書くか考える、それからだもの。(おそ~、日が暮れるよ。)
言う。これにしても漢字とひらがな、例えば、言葉を言った。と書くと何だか重たくなるから、言葉をいった。にすることが多い。(なるほど、考える一理はある。)
私だって無い頭を使っているのだ。(だから長ちゃんの日々長考、となるのだね、でもキー連打の速さとは意味が違うよ。)

帽子を被る女性はどう思う?・・・・(話が変わった、それは男ぽく見せたい、恋愛はしないよ、の表現じゃない。)
そうだね、それもあるかも知れない、それより隠す、意味の方が強くない。(あるある、イスラム女性の被るヒジャブなどは、自分が隠れることで、逆に自由な感じになれると言うよ。)
隠す意味でのマスクもあるよね、でも、最近の黒いマスクはどうかなあ。(ほんとだね。)
私は帽子が嫌いだが、男の帽子も隠す、意味じゃないの。(普通はファッション?・・・・やっぱりそうかな。)

穴守稲荷駅・・・・先日仕事ではないが、ここで夕方、友人と待ち合わせしたとき、やはり京急蒲田駅で何回かホーム間違えたみたいだ。(京急蒲田駅は、知らない人は魔の駅だね。)
その友人がJR職員で、何だか笑った。(ポッポやなんだね。)
天空橋駅、ここからは初めて来る駅だ。(モノレールも初めて?)
ここはそうだね、穴守稲荷駅あたりでもスチュワーデスたくさん見るけど、ここまで来るとほんと多いわ。(スッチー、隙の無い雰囲気(化粧)創るよね。)
スチュワーデス物語?思い出した、思い出したらなぜか可笑しくてしょうがない。(堀ちえみ、「教官ッ」)
堀ちえみって、スチュワーデスから一番遠いタイプに感じるけど。(だから面白いとも言えるじゃん、「ドジでのろまな亀でッ」って自分で言っているしね。)
そうかあ、面白いと思わせる番組の思惑通りだったんだ。(もしかしたらコメディに近いかもね。)

新整備場駅に着き、暗い構内をしばらく歩き外に出ると、大きな飛行機が何機も現れる。
海とか大平原、広いところは好きだし気持ち良いが、飛行場だけは怖いな。(広場恐怖症はあるが、それとは違うみたいだね。)
近くに飛行機があることが怖い。(見慣れないだけのことじゃない。)
と、みなさんとのオチの無い、平凡な会話が続く。

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旅?いえ、仕事です。 その12 本当のサービスとは?


一日のつまづきは朝の些細なことから始まる。
不思議なことだ、良い日とか悪い一日、なぜか一日を通して似たようなことが起こる。小さなことの積み重ねが一日を創る。
それは感情などの心の調子によるものなのか?いや、現実に起こることに対して、意味の無い嫌悪感でもある。

雑色にある松つや、24時間営業でもあるし朝食定食が400円と安い。近いこともあり、京急を使う朝に立ち寄ることが多い。
ただ少しがさつ、でもある。チェーン店ではあるが、昔の定食屋の雰囲気がある。それはたぶん雑色と言う街がそうさせている。下町、高齢、年金、生活保護、もともと町工場の多い地域、その成れの果てとも言える。
今時代では、築地月島豊洲などの昔の下町が高層住宅に変わった。それもどうかと思うが、雑色みたいな古町がそのまま情緒あふれる下町?と言えるのかどうか、私には分かりません。

お客側が、お店の雰囲気を創っている。
番号で呼ばれ定食のトレーを取りに行く、セルフサービスだ。
「お客さん、すみません。あいにく海苔が切れてしまって、ポテトを多めに致しますので・・・・」高齢の太った定員が、少し高い声で言った。
実は海苔は食べたいが、ポテトは無い方が良いくらいだった。それはダイエットについてのことだが、近い内まとめて書きたい。
「いや、これでいいです。」とトレーを持ち、振り向いた席に座る。
お店の携帯が鳴り、定員が取り話し出す。海苔の話から仕込みの話まで大きな声で話し出す。いや、ただ声が店内に響くだけ?朝の早い時間帯だけに、・・・・背中越しでもあるが、少しやな気分になった。
海苔のことよりも、別に定員の態度が悪いとは言わない。なにせ、400円でこれだけの朝食を食べさせて頂ける。感謝の気持ちの方が大事である。
感情の起伏は、私の意味の無い嫌悪感のせいだ。

もしかしたら日本人の悪いところ?かも知れない、と思う。
定員とお客様の関係はどこに行っても、ほとんど神様と奴隷ほどの関係、と言ってもいい過ぎではないように思える。
コンビニやデパートはもとより、あらゆる商売。日本の中枢である、銀行、交通機関、市役所までもがそうだ。それも少額のお金で、どれほどまでに頭を下げる。
そこまでしなくても良い、たった000円のために、と思ってしまう。
外国人には分からない日本人的常識、長澤にも分からない。
「お客様は神様です。」三波春夫も余計なこと、歌ったものだ。
「おもてなし」も、もしかしたらその行動に、意味が分からない(無い)ところも出て来るかも知れない。

生活の中にある労わりとは違うサービス、本当は無償の行動でなければいけない。000円でも、お客様だから「あたりまえ」と思えるところが間違えだ。
時と場合では定員とお客様が逆転することもあるだろう。相手に要求してしまう雰囲気も醜い。本当は立場など関係無い、同じ目線であることが正しいと思う。
なんか不思議な社会である。過剰サービスニッポン!

そう言えば昔どこそこの将棋センターに、かなり高飛車な人がいた。年上で高学歴高収入だったので、私にはそう見えたのかも知れない。
ネット株が流行っていて、私も遊んでやっていた。
ある時、「お宅の会社の株、私持っているよ」と言ったら、コロッと態度が変わったことがあった。
何だか、「ふ~ん」と思った記憶がある。

今日は雑色から東京モノレール線にある、新整備場と言う駅近くにある現場に向かう。
めったに行くところでは無いが、そんな現場もある。
雑色駅七時頃、一番混雑している時間帯、蒲田駅までひと駅の辛抱だ。
エスカレータを上りきると、人であふれている。狭い中を中ほどに行きたいのだが、・・・・歩けない。
エスカレータ脇のスペースが狭すぎるよ。あっ!!もしかしたら雑色駅にホームドアが無い理由は、ここにあるのか!?いや、京急はあまりホームドアを見ないから、そういえば川崎駅でも横浜駅でも階段脇が狭すぎる。思うに、古い構造だろう。
新設した雑色駅は、つい最近だ。設計ミスと言うよりも、もともとホームドアのことなど考えていないのか?
それは分からないが、乗客への本当のサービスは安全じゃないのか?それとも京急幹部は庶民のことなど頭にないのかも知れない。

誰かが言っていた、雑色駅は人身事故が多い。
それは葬式駅(雑色駅)だからでしょうって、ダジャレかい!!

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正義って何? 後半


運転手がこれ以上、罪が重たくならないようにしたい。
気持ちは分からないでもない。と思いつつ、倉田は「運転手さん、逃げたでしょう」と目を光らせながら言った。
運転手は、ひっと絶句して声も出せなかった。警察官は表情を変えた。
丸山が遠くを指差し、「俺が自転車で追いかけたから、あそこに車があるんでしょう。分かる?・・・・30mのひき逃げ犯じゃないの?」
「警察が来た時点で逃げてなければ、ひき逃げにはならない」と警察官は言い、詳しい事情を聴きたいと三人を暑に同行を願い出た。

聴取は二時間ほど掛かった。三人は、正しいことを真実を自分たちなりの言葉で話した。
警察署を出たときには九時を回り、周りはすっかり暗くなり、街のネオンがキラキラと情景を創っていた。
正しいことを真実を、警察署で話した。
法律を守っている、国が社会が味方にある。その中で活躍をした。
勢いよく警察署を出て、我がもののように街を歩き出す。晴れ晴れした気持ちが歩調を早める。すれ違う人々が尊敬の眼差しで見ているとさえ感じられる。
倉田はフッと運転手の気持ちになると、「仕方がない」と想い、もう事故は過去のもので、これからは罰を償わなければならない。
俺たちも何か関係しているのか?目撃者で女性を助けたよな、俺たちは正義だよな?と思った。

「飲みに行くかー」倉田は二人に言う。
「行きましょう行きましょう」と有吉、「良いことをした後は、美味しいお酒が飲めますね」と丸山。
三人は蒲田の裏通りを歩き、倉田のいきつけの小さな居酒屋に入った。
カウンター五席と四人掛けのテーブルが二つ。店内は少し古めで照明も暗い。
テーブルには初老の労働者風の三人と三十代のOL三人、カウンターにサラリーマンと女性が座っていた。
倉田たちが入るといっぱいで、カウンターのカップルが一つづつ端に寄ってもらい、三人は座った。
マスターはなじみで、バイトの女の子が一人いる。
麦酒を並べてもらい、早速食べる物、「お腹ペコペコ」と意気揚々に注文する三人。
少し酔いが回り、倉田が「マスター!さっき四丁目の交差点で事故あったの知ってる」と得意げに言う。
「いや知らない」
「俺たち目撃者で、第一発見者さ」
「ほー、どんな事故だったの?」
「若い女性がひき逃げされた。重症だって、逃げた運転手を丸が自転車で追いかけて、捕まえたんだ」と自慢げに言った。
こう言ったところの話は、現実よりも大きくなるものだ。
少しの間、お店の中はこの武勇伝でもちきりになった。
倉田たちは話を半分創りながら、気持ちよく話した。
時間が経ち、OL三人とカップルは帰り、初老の労働者は自分たちの仕事の話になり、マスターやバイトの女の子も片付けながら、うわの空の相槌になる。
倉田たち三人だけの会話になった。時刻も十二時を回った。三人はそうとう飲んだ。

マスターから閉店を聞かされ、お店から出ると、やけに寒い。
「もう一軒行くか?」と倉田が二人に言った。二人は答えず、とぼとぼと当ても無く真夜中の道を歩く。すると、さっきの事故現場に来た。
街灯の光が点々とし、昼間と違い、広さを感じる。      
三人は酔っていて良く分からない思考ではあるが、何か虚しさが、少し気持ち悪い感情が、本当の根にあるものが、・・・・それは何なのか分からなかった。
「俺たち、本当に正しいこと、したのか?」心の奥にある、言ってはいけないと思いながらも、有吉が二人に聞いた。
「真実を言ったことは間違いない」と倉田、「女性には本当に非は無かったのか?」と丸田が聞いた。
「無いことは無いが、あの場合、ほとんどが運転手が悪いに決まっている。車社会の常識は、特別な法律、思考があるものだ」と倉田、「でも、俺たちが、あそこまで、運転手を悪く、言うことは無いと思うが・・・・」酔いからか少しつっかいつっかいになる有吉。
「行き(言い)過ぎたのかな?」丸田が沈みがちに言った。「何処に?」倉田の強い返事に、「いや、行く、じゃ無い。・・・・俺たち、何もやってない。ただの目撃者で、確かに、女性は助けたが、通報だけ・・・・それだけのことじゃないかなあ」
「警察署では、上からだったけど、本当は、上も、下も、無いってことだよ。警察も、俺たちも、運転手も、皆同じだ」と有吉。
「そうだなあ、一番上にあるのは、ただの、ただの、法律だけなのかも知れない。・・・・人間は法律を作ったが、法律によって、潰されるものなのか?」と倉田が言うと、丸田は「じゃ、法律は博士を殺した、フランケン・シュタインと同じかい?」と言い、三人は大声で笑った。
夜中の通り、その笑い声は響き渡り、明らかに近所迷惑(軽犯罪法第1条第14号)なものであった。

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正義って何? 前半


サロンを始める前、十年くらい蒲田にある小さな商社にいました。
ひと月ほど前、そこの先輩と飲む機会があり、居酒屋で会い、いろいろ盛り上がりました。
話の中で吉沢ひとみのひき逃げ事件が出たとき、似たような経験話を聞きました。先輩は事故には関係無く、目撃者の一人でした。
その話が結構面白く(失礼)、ここでの題材にしたいと思います。

二年ほど前の話です。倉田(仮名・先輩)は二人の後輩と会社帰り、歩いていました。
ひとりは丸山(仮名)と言い、休日に野球チームに参加しているようなスポーツマンで、ややがっちりした体格です。
もうひとりは有吉(仮名)、丸顔でぽっちゃりしているように見えるが、東京マラソンで完走するほどの体力があります。
二人とも三十代で、私が居た時分からの知り合いでした。

大田区に環状八号線、通称環八から少し奥まった蒲田の路地での出来事です。
ある夕方、三人で歩いている(丸山は自転車を押していた)、見通しの悪い交差点で信号が赤になり、軽く立ち話をしていると、若い女性がよろよろと自転車で後ろから追い越して行った。
目線はスマホにある。
危ないと思った瞬間!!、ガシャン!!と自転車の前車輪に車が突っ込んだ。自転車はひっくり返り女性は転げ落ちた。
スマホがススーと滑り、飛んで行く。
三人は気が動転して一瞬固まったが、女性の方に近づくと、同時に車は動き出した。運転手からの視界に三人が見えなかったらしく、そのまま走り出した。
「丸!追え!」と大きな声で倉田が叫んだ。その声で気が付いたのか、30mくらい離れたところで急ブレーキの響きが聞こえた。
自転車で追った丸山は、止まった車の前に行き道をふさいだ。
転がった女性は太ももあたりを震えながら押さえている。そうとう苦しそうにもがいている。
「有吉、女に触るな!とにかく救急車だ」
「うん」と頷き、携帯で119を押す。
倉田は、あまりにも苦しそうにしている女性に声も掛けられない、表情を見ているのも辛かった。
とにかく余計なことをして逆に間違えることを恐れた。

救急車が来る頃には人だかりも出来ていた。そしてパトカーも二台来た。実況見分(現場検証)が始まり、運転手は警察官に尋問されている。
野次馬が増える中、救急車は女性を乗せて出発した。
倉田は自分たちが第一発見者の上に女性を助けた、この状況において特別な優越感を感じていた。なかなか有ることではない、まして勝者側に居るのだから・・・・。
「丸、運転手と何か話した?」
「青い顔して、信号無視は向こうだと、声にならない声で言っていた」
「確かにそうだが、・・・・あいつ逃げようとしていなかった?」
「そうかも知れない」
そこに有吉が来て、「第一発見者として三人に話を聞きたいと、・・・・。」倉田は頷いた。
人だかりの中を行き、警察官と運転手の居るところに三人が加わった。
「運転手は、青信号法定速度で横断歩道に入ったとき、赤で止まると思っていた自転車、女性を跳ねた、と言っている」
「確かに信号は赤だった。・・・・しかし30㎞では無かった。50は出ていたんじゃないかなあ」と倉田が言った。
「自転車の前のタイヤに突っ込んだんだから、運転手の前方不注意じゃないのか?」と丸山、有吉は「見ていて30以下ならぶつからない距離だと思うよ」と言った。
「遠くからでもスマホに夢中になっている姿が見えれば、気を付けるとしたものだ」と倉田は言った。
倉田は、ここで真実を言うことが正義であり、悪を倒すことだと考えていた。
「スピードのことは実況見分で正確に分かる。自転車が車にぶつかることならともかく、車が自転車にぶつかったのだから、運転手さんの方に過失はある」
警察官の話に三人は、ほら見ろ、そんな表情になった。
運転手は追い込まれた感情は隠せず、「見ていなかったら、と言われればそうかもしれないが、・・・・」と弱弱しい声になる。
「ほら、良くあるのがラジオの操作とか、・・・・やっぱしスマホ観ていたとか?」丸山が軽く言うと、「そ、そんなことはありません。ぜ、絶対にありません」と運転手は強く否定した。

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