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児童劇と富士山と青春!(その23)


~雑色駅前将棋サロンホーム~

ー皆の気持ち、そして想いー その4

リンリンリンリンと、スピードを出し過ぎるとメーターがけたたましく響く。
もう、甲府市にいる意味は無くなった。中央高速に乗り、雨の中、急いで国分寺に戻った。危ないと思うが、どうでも良かった。自分の存在価値など何もない。車のヒーターが強く唸り、凍った身体を温め、濡れたYシャツ、ベスト、下着、ズボンを乾かす。上着は!?山元幼稚園の事務所か?それもいらない。
長岡は、国分寺の誰もいない自分の部屋に戻った。乾いているが砂汚れのまま、着替える生気もない。目を瞑りじーっと考え、そして机に向かいデスクライトを点けて、津田さんに手紙を書いた。
ー僕自身、もう皆の前に出ることが出来ません。資格もありません。ですから三月十九日と二十日の公演だけは、何とか浦部君を中心に公演させて、後は休団の形をとって下さい。その際に、掛かった費用は後で振り込みますので、請求書を、私の実家に送って下さるようお願い致します。お手数ですが、劇団やまびこを最後まで見守って下さい。ー
という内容の手紙を書いて、封筒に入れた。そしてこれを芸術劇場のポストに入れれば良い。
後は、どこか知らない田舎街にでも行って、少しづつでも親父に借金を返していけば良い。これが今回の結論であり、劇団やまびこの幕引きでもある。心残りは、一度も自分の劇団公演を見れないまま終わることだ。仕方がない。とりあえず手紙をポストにと、芸術劇場に向かった。
芸術劇場の前まで来ると、!?二階稽古場の明かりがついている。もう十時近くになるのに。
階段を上がり二階稽古場の前まで行くと、中から話声が聞こえた。ドアの前で息を殺していると、大きな声で怒鳴りあったり、シクシクと泣き声もする。内容はよく分からない。稽古場にいるはずのない、浦部の声も聞こえる。
「何回も言いますが、厳しいのはいいのだけど、演出の言っている内容が上手く皆に通じないのよ。それにすぐ、罵倒するのが悪いわ。皆稽古だけでなく他にも大変なことが多いのよ。ストレスもたまるわ」
「確かに、女の子ばかりで強い言い方に反発があるのも分かるが、少し知的に考えれば、私の言うことなど簡単なことだ。あまりにもその場その場の、感覚的すぎる。こんな素人ばかりで、ひと月以内に仕上げなければならないのに・・・・もう少し大人になって貰わなければ困る。結果、プロの作品にしなければ意味がない!」
山野が言って村上が反論した。それに島田が加わり、
「私は劇団Sにいたが、村上さんの考えるプロの舞台は、私が見てきたプロの舞台とは大分違うと思う。良い作品(演出)には、どんな舞台でも貴賓の高さを感じる。村上さんにはそれが感じられない!」
「だから私の演出が嫌いなら、辞めればいい・・・・。他の劇団から演出家を呼べばいい。それで終わることなんだ」
長岡の聞く限り、山野たちは村上の演出よりも、人間性に疑問を感じているようだ。
中立の立場にいる浦部は、
「山野さん、今回だけは我慢して下さい。我々劇団やまびこは、芸術さんにお世話になりっぱなしなんだ。それにプロの村上さんに、教わるだけでも大変なことなんですよ」
山野をはじめ、島田、木村、仲田は言葉もない。
長岡はドアの外で聞いていたが、もう皆に会わないと思っていたが、・・・・決意してドアの取っ手をひねった。皆の視線が入り口に集中した。
あまりにもひどい長岡の姿に、稽古場は静まり返った。山野が呟くように、「・・・・長岡さん」と言った。
長岡は無言のまま稽古場の中央まで行くと、掠れた声で、
「皆、お願いだ。何とか舞台だけは、舞台だけは成功させてくれ。喧嘩なんかしないでくれよ」と懇願した。
浦部はハッと気づき、長岡の前で振り返った。
「皆。ここは長岡の気持ち、長岡のために仲良くしよう。こんな泥だらけになりながらも、僕らのために、営業、成功させようと努力しているんだ。頼むよ山野さん」
長岡は何かを思い詰めたように、一点を見つめたまま動かない。腕組をしている山野は、首を振りながら下を向いた。
村上は長岡の姿に、何か途轍もないスケールを感じた。自身の小ささ(繊細な気持ち)を恥じるようにも思えた。大きな動きは、たとえ正しくても小さな物を飲み込む。村上は何回も頷き、
「俺が悪かった。劇団やまびこは凄いよ、皆素晴らしい。ただ、小さな結果だけを求めていた、俺の考え方は貧弱だった」
と長岡の前まで行き、手を差し出した。
「あなただったら大丈夫だ。今回の公演は絶対成功する。皆のために頑張ってくれよ」
と握手を求めた。長岡も快く応じた。すると稽古場の雰囲気は明るくなり、穏やかな声が少しづつ広がった。しかし長岡は、下を向き、
「すまない。俺は、俺は、皆に申し訳ないことをしているんだ。すまない」と肩を震わせ、涙を流す。
「長岡、営業上手く行ってないだろう。でも大丈夫だ。まだひと月ある。今度は皆で手伝うから、営業も一から出直そうよ。全て一からだよ」
浦部は長岡の両腕を強く握り、力強く言うと、周りにいる皆は、ただ合わすように頷いた。
「皆・・・・辛いが、頑張ろう。でも結果とか現実は・・・・うん、夢があるんだ。皆で、皆で、でも俺は・・・・」
「もう言うなよ。皆も分かっている、大丈夫さ」
浦部は、長岡の腕を引いて稽古場から出て行った。

続く。


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~今日の一言~

八章中五章が終わりました。
たいした量じゃないと思っていましたが、こうしてブログにすると意外と長い。
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