児童劇と富士山と青春!(その34)


~雑色駅前将棋サロンホーム~

ー劇団やまびことちいちゃんー

長岡は一人部屋に入って、ベットにゴロッと仰向けに寝た。今日一日の出来事が何回も回想された。午後四時頃、富士市民に電話掛けた時には前売り五十二枚しか出ていない。当日売りも期待できる材料など何もない。それだけに、甲府市の成功は本当に命拾いだった・・・・。
四階の窓のカーテンを広げると、富士市独特の夜景が広がる。赤と白の煙突から、もくもくと白い煙いが暗い空へと広がり、消えて行く。
そんな光景を見ながら、想い浮かべる。富士市でのぬいぐるみ公演の意味とは、ちいちゃんはどんな形で出現するのか?自分とは本当に関係あるのか?ぬいぐるみ劇や白雪姫などには何も結びつかない。それならなぜ、俺たちは富士市で公演するのか?ちいちゃんは、養護施設の引率は、自分が見た夢の一件はいったい何だったんだろうか?
長岡は、富士市の遠い夜景を眺めながら想いを巡らせていた。
翌朝、長岡は少し早めにロビーに下りて行く。すでに数人の役者たちがソファーに腰かけて雑談していた。長岡は「おはよう」と挨拶して外を見た。
ロビーから見える外の景色は、空一面に厚い雲が広がり今にも雨が降りだしそうな雲行き。国道沿いなのか車の往来が激しく、粉塵が舞い上がる中を、子供たちも身をかがめながら歩いている。
何となく、気の乗らない不安な空気を感じさせる朝だった。
「嵐が来るって、朝の天気予報で言っていたわ」
振り向くと、津田さんが心配そうにウインドガラスから空模様を眺めていた。
「雨が降ると、当日売りに響くわね」
「ええ、でも天気が良くても三十人くらいしか来ません」
「前売りは幾らくらい捌けたの?」
「五十二枚です。・・・・金額にして九万円です。会館費用も出ません」
「キャパは千席ぐらいよね。・・・・でもそれは、初めから分かっていた事よ」
津田は慰めるように言った。
皆はぞろぞろとロビーに集まり出して来た。さほど広くないロビーがいっぱいになると、浦部は仕込みのミーティングを始めた。
雨の降りそうな曇り空の下で、三台の車に分乗してビジネスホテルを出発した。
九時前には搬入口の前で、皆はそれぞれに気持ちを引き締めた。
「全然イメージが違うよ」
浦部は建物を前にして、長岡にそう言った。
「どんな風に違う」
「随分古くなったような、使いづらそうな感じがする・・・・。勿論、時間的な古さじゃない」
「新しい小屋(会館)がたくさん出来たからだよ。ここにも(富士市)ロゼシアターみたいな凄い会館あるし」
「そういうことかなあ~。そういえば飛行船、今日ロゼシアターであると聞いたが?」
その時、搬入口の古い扉が、ギギ~ッと鈍い音を響かせて開いた。
小屋付きの人が顔を出すと、皆は、「おはようございます」とこの時ばかりは元気良く挨拶した。
二回目の仕込みということもあり、搬入はスムーズに進んだ。浦部と長岡二人で、搬入口の錆びついた扉を閉めると、黒い雨雲からポツリポツリと雨が降り出して来た。
「搬入だけはぎりぎり間に合ったな」
「搬入だけだな。・・・・しかし小屋の中は暑いな、汗ばかり出て来る」
「うん。湿気が多いね、気温も二十度越えているな」
長岡は、腕の袖で汗を拭いながら舞台を見た。荷物と作業している人たちで雑然としている。広さがなく、思った以上に狭く感じた。
「狭いなあ~。間口もそうだが、奥行きが全然ない」
「間口は十間で問題ないが、奥行きは五間で少し足りないかな」
「吊り換えとか、小屋を隠す作業が大変じゃないのか?」
「いや、逆にバトンは多い。吊り換えは休憩時間の一回で済むし、小屋の移動も前後だけだから、昨日よりも楽は楽だ。だいたいが古い作品なので、このくらいの会館に対応してあるんだ」
浦部は、余裕のある表情で言った。
長岡は搬入が終わると、座席券や文具の入った鞄を持って、客席の中を通ってロビーに行った。あまり広くないロビーから、雨雲が良く見えた。蛍光灯みたいな電灯が暗いロビーに、異様な雰囲気を演出している。
物品販売のセッティングをしている津田は、長岡を見て、
「昨日と違って狭いわね。・・・・改めて座席表見たけど、昨日と違う意味で大変ね」
「ええ、自分の努力の無さに泣きたくなります。津田さんに県民文化を紹介して貰えなければ、劇団やまびこの明日はありませんでした」
座席券を机に並べていると、ポツリポツリと雨音が聞こえる。フッとウインドガラスを見上げると、雨が強くなり、跳ね上がっているのが分かる。色も、少し濁った黒い雨に見えた。
「ずいぶん強くなってきましたね」
「そうよ。春の嵐が来るのよ」
津田さんは一人で笑った。

続く。


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~今日の一言~

この作品も最後の章に入りました。
もう少しの辛抱です。
やはり、将棋の枠内に入れるのは無理があったか?

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Author:長澤席主
他人を思いやれてこそ自立
傲慢で配慮がないのは孤立

名言カレンダー10月号より

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