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児童劇と富士山と青春!(その37)


~雑色駅前将棋サロンホーム~

ー劇団やまびことちいちゃんー (その4)

「観れないの」ちいちゃんの言葉が頭に残った。
舞台では、小人たちの人形がハイホーハイホーと歌いながら、草原の挿絵から下手袖の小屋に消える。変わって人が入るぬいぐるみの小人たちが、一気にワーッと上手から出て来た。小さな舞台なので、七人の小人はより迫力あり、少ないお客でもドッと盛り上がった。
中央の座席に座っている養護施設を見てみると、一番端にいるはずの女の先生が見当たらない。暗くて分かりにくいが、座席は空席になっている。あれ?と思い、どこにもいない。視線を舞台に向けた瞬間!後ろから声を掛けられた。
「長岡さん、長岡さん有り難うございます。私、今日初めて、ぬいぐるみ劇の白雪姫観ました」
明らかに施設の先生だ!小さな低い声、ロビーで聞いた声と同じだ。・・・・どうして私の名前を?
長岡は振り向くことが出来なかった。また、金縛りだ。あの、ケヤキ公園のときと同じだ。恐怖感がそうさせるのか?
冷や汗が流れ落ちる。舞台は淡々と進んでいる。
「どうして、どうしてなんですか?僕たちとどんな関係が・・・・」
と聞くと、女の先生は、
「理由は、長岡さんが考えている通りです。どんなに小さなことでも、心にわだかまりとして残っていることがあれば、忘れることが出来ないのです。特に子供のころの想いは、人々の心や時空を超えるのではないでしょうか」
と囁いた。
次の瞬間、暖かく柔らかい小さな腕が肩に回った。
「ちいちゃんは、白雪姫観れて良かった。ここに来たいと思っていた。お兄ちゃんを信じて良かった」
尚も長岡の腕に手を回し、ピョンピョンと飛び跳ねて甘えた。
「一緒に白雪姫観よう。舞台では、お兄ちゃんの友達が一生懸命演技しているんだ」
会場いっぱいのお客が盛り上がる中、小人たちは自由に元気良く飛び跳ねる。
新しい会館で、時代を越えて劇団やまびこは公演している。長岡は、ちいちゃんの小さな手を握り、震える声を隠しながら、
「皆、皆、ちいちゃんのために頑張ってくれている」と言った。
「お兄ちゃんのお友達は、みんな大好き!ちいちゃんも、お兄ちゃんのお友達なのネ・・・・」
長岡は、笑みを浮かべて頷いた。
「劇団やまびこは、ちいちゃんのおかげで出来た、素晴らしい仲間たちなんだ」
フッと、ちいちゃんの声が女性の声に変わり、
「劇団やまびこはいつまでも、千鶴の心の中にあるのね」
長岡は、ずいぶん大人びたことを言う子だなあと思った。後を振り返ることが出来た。・・・・ちいちゃんの姿は無かった。
!?前の座席を見ると、一番端に女の先生は座っていた。
今の出来事はどこまでが本当で、どこから夢なのか?分からなかった。すでに恐怖は何も感じなかった。
暫くすると休憩時間になった。頭の中をハッキリさせて、不安ながらも客席を下りて女の先生に挨拶すると、先生は何事も無かったように見えた。
「今日は、本当に有り難うございました。生徒たちも大変喜んでいます」と言った。
とても三十年後のちいちゃんとは思えない。長岡は頭を下げてロビーに出た。
蛍光灯の明かりだけの暗いロビーでは、数人のお客を前に、津田さんがプログラムを売っている。閑散としたロビーを歩いて、ウインドガラスの向こうの黒い空を見上げると、ひたすら濁った雨が強く窓ガラスを叩き、水しぶきを上げている。
会場に戻ると、客席の雰囲気も暗く、とても一幕を見た後の空気とは思えない。何か蒸し暑さだけが感じられ、外の暗さと同じように、やる気が伝わってこなかった。舞台もお客も同じだ。今日という日が、そういう日なのか?長岡だけがそう感じているのか?
客席からは小さな囁き声は聞こえるものの、シ~ンと静まり返った、白けた空気が漂っていた。
養護施設の座席を見ると、女の先生が座っていた席は空席だった。先生は一人だけなのに、二十人もの生徒を置いて歩き回るはずがない。本ベルが鳴り、客電が落ちると長岡は、下手横の通路の扉に体を預けて、二幕が始まるのを見ていた。
エンディング前の舞台裏はパニック状態だ。長岡は裏に回り、下手袖から皆の集中している姿を見ていた。浦部は、体中汗と埃で真っ黒になりながらバトンの綱を引いていた。
「長岡、手伝いに来たのか?ロビーが暇なら搬出まで手伝ってくれ!」
何となく、言われるがままにエンディングから終演、搬出と、皆と一緒に動いた。
会場にお客がいなくなると、緞帳を上げて舞台を広くして、搬出作業に取り掛かった。
ロビーでは津田が、残件整理や物品の後片付けをしている。フッと窓ガラスから光線のような陽射しが、プログラムの白雪姫に差し込んだ。津田がプログラムに手を触れた時、暖かな感触がした。
「あら!?陽が差し込んで来たわ。晴れたのね」
とウインドガラスから空を見上げた。
白い流れ雲から青空が少しだけ覗き、暖かな陽射しが、ウインドガラスから斜めに差し込んでいた。

続く。


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~今日の一言~

これが終わったら何を書きましょうか?別に期待されていませんが。
そうだ!あれにしょう。でもしかし、書いて大丈夫か?
問題は書き方でしょうね。
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